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週刊 PC&周辺機器レビュー 第100回

SE-300PCIEはサウンドカードの決定版となるか?

2011年05月06日 12時00分更新

文● 小西利明/ASCII.jp編集部

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「DIDRC」を中心にノイズ対策をてんこ盛り

シールドを外した基板写真(オンキヨー提供)。銅製シールドの上にも書かれた「DIDRC」は、左上のアナログ出力の辺りがソレ

 高音質化の工夫が数多く盛り込まれているSE-300PCIEだが、特に重点が置かれているのはノイズ対策だ。インターフェースまわりの電源回路から、アナログ出力部まで、徹底したノイズ対策が施されている。

 中でも独自回路「DIDRC」は、銅製シールドの上にその名が書かれたように、SE-300PCIEでも最も特徴的な部分だ。主力出力となる2チャンネルのアナログ出力は、左右の出力それぞれが上下対称のレイアウトで実装されているほか、市販のオペアンプは使わずに、すべてディスクリート部品で構成されている。オペアンプを好みに合わせて交換できる仕組みを持つハイエンドサウンドカードは他社製品にあるが、SE-300PCIEはその手法の逆を行っているわけだ。

 DIDRCはデジタル信号による高周波ノイズ対策を重点に置いたもので、「ビートダウン現象」と呼ばれる可聴帯域へのノイズを発生させなくしているという。左右のアナログ出力だけでなく、その下のヘッドホン出力にも「DIDRCヘッドホンアンプ」を搭載し、ヘッドホンでの出力にも同コンセプトの対策が施されている。

 また左右アナログ出力とデジタル回路をつなぐD/Aコンバーター部分には、それぞれにD/Aコンバーターのチップを搭載している。このチップは本来、1チップで左右2チャンネルの出力が可能なのだが、SE-300PCIEではこれを各チャンネルにひとつずつ使っている。そして1チップからの2チャンネル分の出力を差動合成して、1チャンネル分の出力として扱うという凝った構造を採用することで、信号のS/N比を高めている。

左に見えるアナログ部につながるD/Aコンバーター(赤枠内)は、左右それぞれに1個ずつ使用という贅沢な構成

 電源周りのノイズ対策も重要だ。SE-300PCIEはPCI Expressインターフェースからの電力供給で動作するが、ここには当然ながらノイズが混入している。そこでSE-300PCIEでは、絶縁された電源回路でノイズのない電源を新たに生成。大型コンデンサーも配置して、ノイズのない安定した電力供給を実現している。

 店頭実売価格では3万円台前半で販売されているサウンドカードで、これだけ徹底したノイズ対策を施されているという製品はほかにないだろう。

X-Fiプロセッサーでゲームにも強い

 パソコンでのサウンドカードと言えば音楽鑑賞用だけでなく、ゲーム用でも根強いニーズがある。しかしオンキヨーのサウンドカードは、ゲーム用として選ぶには必ずしも適当な製品とは言えない面があった。しかし、SE-300PCIEではその心配はない。

 SE-300PCIEはオーディオプロセッサーとして、ゲーム用サウンドカード「Sound Blaster X-Fi Titanium」シリーズと同じ「X-Fi」プロセッサーを搭載。X-Fiプロセッサーが持つゲーム向けサラウンドオーディオ機能「EAX ADVANCED AUDIO 5.0」に対応している。また、バーチャルサラウンド機能「X-Fi CMSS-3D」、圧縮オーディオファイルで欠落した高/低周波成分を復元する「X-Fi Crystalizer」といった、ゲームだけでなく映画鑑賞や音楽再生にも効果的なエフェクト機能も実現している。

 EAXはWindows 7/Vistaではサポートされない機能だが、EAX対応ゲームをこれらのOS上で動かす「Creative Alchemy」にも対応しているなど、Sound Blaster X-Fiが持つほとんどの機能を、SE-300PCIEは備えている。ゲーマー向けのサウンドカードとしても、機能面で不足はないはずだ。

EAX対応ゲームをWindows 7/Vistaで動作させる「Creative Alchemy」

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