Windows Azureとクラウド対応CMSを使う
メリットとは?
今回のMSN産経フォトの立ち上げにも携わった、日本マイクロソフトのメディア担当シニアテクノロジースペシャリストの畠山大有氏は、今回Windows Azureを使ったメリットを次の3つにまとめた。
- 俊敏性
- コスト
- 革新
俊敏性は、サーバーの用意や運用など準備期間の短縮だけでなく、サービス開始後のスケールアップや、今回の大災害などで一夜にして注目度が高まった場合の配信サービスの拡充対応などにも迅速に対応できることを示す。
コストはもちろん初期投資を低く抑えることで、スモールスタートしながら時機やユーザーの要望をいち早く取り入れて、日々の革新的サービスにも気軽に挑戦していくことができるという。
設計全般を取り仕切ったシグマコンサルティングの代表取締役の橋本圭一氏の説明も同様で、毎日必要なシステムの管理業務をアウトソースすることで運用コストを抑えつつ、短期にサービスを構築、提供することでコスト回収のタイミングを早められることがメリットと説明。また、今回のように突発的に増える需要(閲覧リクエスト)に対しては、負荷分散型のコンテンツ配信技術「Azure CDN」を活用することで対応した。
また、ロフトワークの諏訪氏はCMSの重要性について説明。Twitterなど消費者が自ら発信する機会が増えており、そうしたユーザーの声を取り入れる、オープンで継続的な対話(Engagement)を製品やサービスをアピールするサイトにも取り入れるために、CMSの有効活用が必要と持論を展開した。なお、詳細は同社サイトのレポート記事も参照されたい。
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このほか今月米国ラスベガスで開催された最新Web技術の披露イベント「MIX11」から、Windows Azureを使って動画配信を行なう「Media Platform Framework」(開発中)や、Azure上のリソースとサーバー、Windows 7クライアントを組み合わせての負荷分散レンダリング(HPC Server 2008 R2)をPixar Studioが実現したこと、日本でも流行の兆しを見せるFacebookアプリをAzure上で作成・運用ための支援ツールなどが紹介された。最後のFacebook対応ツールは、元マイクロソフトの社員がFacebookに転職して、C#用のSDKを開発したと裏話も披露された。
セミナー全体を通してプログラミングやコーディングなどの話にはほとんど触れず、クラウドとCMSを使うことでのコストや開発期間短縮のメリットが大きくアピールされた。登壇した日本マイクロソフトの砂金信一郎氏は、開発者だけでなくマーケティング担当者やプロジェクトマネージャーにもぜひ参加して、クラウドを活用した新しく楽しいサービスを創出してほしい、と呼びかけた。