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物欲AVコモノ道 第92回

ガツンとくる重低音ヘッドフォン 気になる3機種をチェック!

2011年04月25日 12時00分更新

文● 川添貴生/インサイトイメージ

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両機種の低音の違いを聞き比べる

ATH-CKS77(左)とHA-FXT90(右)の装着イメージ

 では、両者を聞き比べてみたい。どちらも低音の再生に力を注いでいる訳だが、それぞれを聴いてみると、同じ低音重視でも性格は随分と異なることが分かる。

 まずオーディオテクニカのATH-CKS77は、従来のSOLID BASSシリーズと同様、無理にブーストするようなイメージではなく、クッキリした輪郭を与えることで強調しているというイメージ。

 殊更に低音ばかりが目立つということはない。ロックやテクノ、ダンス系に合うのはもちろんだが、それ以外でも十分対応できそうだ。

 一方、ビクターのHA-FXT90は低音がグッと前に押し出される印象で、ベースやバスドラムの音が目立つ。さらに特徴的なのが、低音の芯の太さ。特にベースが目立つ楽曲では、ものすごく骨太のベースラインを堪能できる。低音の重みもしっかり感じ取れ、ブリブリの重低音が楽しめる。

 低音の存在感がしっかり感じられるのはHA-FXT90で、音量を大きめにすると耳全体が低音の振動で震えているような気がするほど。

 ただ、音のキレという点ではATH-CKS77に分があるように思う。楽曲によってはあまりにも低音が強調されるため、こもったように感じるほか、「ドンドンドンドン」というバスドラムの音が「ドードードードー」に近く聞こえてしまうケースがある。

 このあたりは好みにもよるだろう。とにかく、しっかりした重低音を聞きたいというのであれば、HA-FXT90はおすすめできる選択肢だ。逆にバランスのよさの中で、低音もしっかり響かせてほしいというのであれば、ATH-CKS77は魅力的だろう。

 なお、両方とも中~高音域へのつながりはスムースで、高音の伸びも悪くない。HA-FXT90は若干、中音域が低音に沈んでいる印象はあるが、それほど気になるほどではない。

 それよりも低音の迫力を楽しむべきイヤフォンだ。ATH-CKS77はそもそも音量を稼いで低音の迫力を出すというタイプではなく、中音域が埋もれてしまうこともない。高音の伸びもまずまずだ。

コストパフォーマンスの高いSOLID BASSヘッドホン

「ATH-WS55」

「ATH-WS55」(実売7000円前後)

 さて、オーディオテクニカのSOLID BASSシリーズ製品の中からもうひとつ、「ATH-WS55」を紹介したい。こちらはオーバーヘッドタイプのヘッドフォンで、昨年発売された「ATH-WS70」の下位モデルという位置付けになる。

楕円型の高密閉イヤーパッドを採用。音漏れを抑えつつ、低音を効率よく響かせる

楕円型の高密閉イヤーパッドを採用。音漏れを抑えつつ、低音を効率よく響かせる

従来モデル(ATH-WS50、右)のハウジング部は樹脂製だったが、「ATH-WS55」(左)はアルミハウジングを樹脂パーツで挟み込んだ「重層構造ハイブリットハウジング」を採用する

従来モデル(ATH-WS50、右)のハウジング部は樹脂製だったが、「ATH-WS55」(左)はアルミハウジングを樹脂パーツで挟み込んだ「重層構造ハイブリットハウジング」を採用する

 重層構造ハイブリットハウジングで、内部には低域の表現力を増す「ダブルエアチャンバーメカニズム」を採用する。イヤーパッドは楕円形で、まずまずの厚みがあるほか密閉度も高く、音漏れは少ない。

 使い勝手の面では、ヘッドバンドが無段階調整式でピッタリフィットする位置に調整できるほか、ハウジング部分が90度回転する仕組みのため、カバンの中に収めやすいフラットな形状にできるのがポイントになる。

 実際に聴いてみると、単に低音の音が大きく目立っているというのではなく、存在感のある芯のある低音を響かせつつ、中~高音域とのバランスもよい音に仕上がっている。上位モデルの「ATH-WS70」と比べると若干輪郭に甘さを感じるが、気になるほどではない。

装着イメージ

装着イメージ

 1万円以下という価格帯であることを考えると、コストパフォーマンスの高い1台と言えそうだ。


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