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「consolidated.db」と可視化ツール「iPhone Tracker」

「iPhone/iPadの位置情報トラッキング問題」とは何か?

2011年04月22日 17時00分更新

文● 鈴木淳也(Junya Suzuki)

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conslidated.db可視化ツール
「iPhone Tracker」がもたらしたインパクト

 実は、このconslidated.dbの存在はiOS 4登場以降に何度か指摘されていた関連リンク)。今回最も大きなトピックは、2人の研究者がこのデータを可視化するツール「iPhone Tracker」を発表したことで、このDBの正体が一目で分かる非常にインパクトの強いものに仕上がっている。

 iPhone TrackerはMac OS X用ソフトで、iPhone Trackerのページで「Download the application」のリンクをクリックするとダウンロードできる。ソースコードも提供されており、腕に自信のある人はアプリケーションの改良やポーティングにチャレンジしてみるといいだろう。

 Where 2.0のプレゼンテーションでは、両氏がワシントンDCとニューヨーク間を1週間ほどAmtrak(鉄道)で往復した軌跡を地図に描写した様子が記されており、その動作がよく分かるようになっている。

Alasdair Allan氏とPete Warden氏が1週間の間にAmtrakを使ってワシントンDCとニューヨーク間を往復したログを記録し、それをiPhone Trackerで描画したもの(「Got an iPhone or 3G iPad? Apple is recording your moves」より)

「iPhone Tracker」を使ってみた

 Mac OS Xユーザーは、ぜひiPhone Trackerを使ってみてほしい。iPhoneまたは3G+Wi-Fi対応版のiPadユーザーであれば、iOS 4以降の記録データを使って移動の軌跡がそのまま描画される。使い方はシンプルで、一般的なオンライン地図サービスの要領で操作するだけだ。ウィンドウ左上には拡大縮小のバーがあり、下にあるバーは時系列を操作できる。時系列バーを一番右まで移動すれば、すべての時間のサマリーが表示される。

iPhone Trackerを起動した直後の画面。世界地図がいきなり出現するのでびっくりするが、現時点で過去10ヵ月の行動記録がここにサマリーとして表示されている。黒い点が大きいほど活動が活発であることを意味する。なお、iOS 4以前の移動データは記録されていないので残念だ

ウィンドウ下のバーを移動すると時間を指定できる。日付はおおよその目安となっており、この前後の時期(1週間程度か)で移動した箇所が表示される

 知らずにこうした情報が記録されている気持ち悪さがある反面、過去の自分の行動記録が一望できる仕組みに驚きと興味が沸いてくるのも確かだ。何せ、昨年2010年6月以降の行動軌跡が時系列で地図を通してはっきりと分かる。

東京での筆者の移動例。おおよその活動範囲が分かる

東京中心部の範囲を拡大してみたところ。筆者は東京-秋葉原-お茶の水駅近辺を中心に移動するため、このように黒丸が集中する。ただし、拡大してみてもiPhone Tracker自体はおおよその範囲しか描画しないため、実際に具体的にどの建物やルートを移動したかは直接は分からない

米国での移動例。米国では中長距離はほぼ飛行機での移動のため、このように黒丸の範囲が独立している。なおエリー湖南側で赤丸が表示されているが、この場所には筆者は行ったことがない。丸がついた理由を考えてみたら、おそらく飛行機でニューヨークからサンフランシスコへと飛んでいる間、機内のWi-Fiサービスに接続するためにiPhoneの電源をオンにした瞬間、外のアンテナ電波またはGPS情報を拾った結果だと思われる

サンフランシスコ周辺の様子。ほぼサンフランシスコ市内と空港の往復だけを繰り返していることが分かる

 「ウソをついて旅行に行ったり、関係ない場所でサボっていた」こともバレてしまうわけだが、出張や旅行であちこちを動く人間にとってみれば、過去の行動を地図から読み取れるわけで、ちょっとした懐かしい気分に浸れる。この貴重なデータを何か活用できないかとも思えてくる。

(次ページへ続く)

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