プライオリティに対する考え方が変わる

まずは省電力!HP、新サーバーやWS、法人向けPCを発表

渡邉利和

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4月21日、日本ヒューレット・パッカードはx86サーバのエントリモデル2機種、ノートPC 6機種、デスクトップPC 2機種4モデル、ワークステーション1機種2モデルの新製品発表を行なった。

省電力と管理性の強化が最重要テーマへ

 全体概要を語った日本ヒューレット・パッカードの取締役 副社長執行役員 パーソナルシステムズ事業統括の岡 隆史氏は、「震災以前とはいろいろな面で考え方を変えて行かなくてはいけないことが見えてきた」という。たとえば、従来日本のユーザー企業がIT機器を選定する際に重視していたポイントは、おおむね「導入コスト」「セキュリティ」「機能/性能」「各種OS/ソフト対応」「省電力/環境対応」の順で、現実問題としては省電力/環境対応のところまで検討が及ぶことは滅多になかったのだという。

日本ヒューレット・パッカードの取締役 副社長執行役員 パーソナルシステムズ事業統括の岡 隆史氏

 だが、今後は「まず省電力性能、次いで、仕事のために必ず会社に来なくてはならない、あるいは、東京に会社を置いたままでよいのか、という観点から、働き方や働く場所の柔軟性を確保していくことが重視されるようになる」という。こうした状況の変化を踏まえて、「HPは何を提供できるのか?」という問いに対する回答となるのが今回の新製品群となる。

 ただし、省電力性能向上の取り組みは、何も震災を受けて急遽始まったというわけではない。HPではこれまで何年もかけて段階的に製品の省電力化に取り組んできた実績がある。この理由について岡氏は、「世界には計画停電のような状況が日常になっている国もあれば、EU圏のように電力料金が比較的高額で、ユーザーの省エネルギーに対する意識が高い地域もあるので、グローバルにビジネスを展開するHPとしては省電力を重要なテーマとして継続的に取り組んでいる」とした。日本では従来、電力効率について話題になる際はおおむね電力コストの問題に着目し、TCO削減という観点で評価するのが一般的だったが、岡氏は「日本ではこれまで電力が足りなくなるという状況について心配したりはしてこなかったが、今後はそうも言っていられない」と指摘する。震災によって国内ユーザーの意識が変わった結果、HPがこれまで地道に取り組んできた高効率化の努力が正当に評価される状況になってきた、と見るのが適切なのだろう。

 岡氏は、「これまでとはメッセージの出し方の順序を変えただけ」ともいうが、その真意は単にマーケティング上の手法ということではない。IT機器側で省電力のための機能を盛り込んでも、ユーザー側が適切な設定で正しく活用しないと効果的な節電には結びつかないため、「ユーザーにも省電力のための機能について知ってもらい、どう使えば役に立つのかを知らせていく必要がある」という認識を踏まえてのものだ。電力品質については、日本では世界水準を上回る高品質な電力を必要なだけ確保できることを前提としたITシステムの設計が可能な環境にあったが、今後はいったんその前提を忘れ、可能な限り少ない電力で業務を遂行する手法を考えていくことが重要になるだろう。

エントリーサーバーでも
省電力やリモート管理は省略しない

HP ProLiant ML110 G7

 では、具体的な新製品の概要について紹介していこう。まず、エントリーサーバーではタワー型の「HP ProLiant ML110 G7」と、1Uラックマウント型の「HP ProLiant DL120 G7」が発表された。いずれも、「インテル Xeon プロセッサー E3ファミリー」(Sandy Bridge)に対応する最新世代のサーバーだ。これまでのエントリーサーバでは、低コスト化が最優先だったために省略されがちだった省電力性、リモート管理機能、可用性・管理性をミッドレンジ並みの水準に引き上げたことが最大の特徴となる。

 省電力に関しては、最大変換効率が90%以上となる“80 PLUS GOLD”認証の電源を搭載、ML110 G7では最大92%の変換効率を達成している。また、同社が“Sea of Sensor”(センサーの海)と呼ぶ、マザーボード上に多数設置された温度センサーによって特定箇所毎の温度をきめ細かく測定し、必要な部分だけを効率的に冷却する“ゾーンクーリング”も採り入れられた。

 遠隔管理機能では、同社のミッドレンジ以上の製品に搭載されていたシステム管理プロセッサ“iLO 3”がProLiant 100シリーズにも初搭載されることになった。これにより、遠隔からサーバのオン/オフ/リセット/強制終了といった電源操作や、BIOS画面にも対応した高速なリモートコンソール機能、遠隔メディアマウントと高速データ転送によるリモートからのソフトウェアインストールなどが可能になる。この結果、システム管理者がサーバのところに出かける必要がなくなり、在宅勤務などの幅も拡がることになる。さらにホットプラグHDD対応、冗長電源対応、モデル共通セットアップツールへの対応など、可用性/管理性の強化も行なわれている。

PC/ワークステーションも消費電力重視

 PC/ワークステーションに関しても、パフォーマンスを引き上げる一方で消費電力は引き下げられている。たとえば、同等の位置づけの製品での比較では、買い換えサイクルに相当する3年半前のモデルと比較してパフォーマンスは2倍に向上する一方消費電力は64%削減されているといった具合だ。また、省電力効果を高める電源管理ソフトウェアとして消費電力測定の精度が向上した“HP Power Assistant 2.0”が提供される。

法人向けノートPCのハイエンドモデル「HP EliteBook 8560p」

タワー型の法人向けデスクトップPC「HP Compaq 8200 Elite MT Desktop PC」

新ワークステーション「HP Z210 Workstation」

 新機能としてスケジュール機能が実装され、5分単位で電源プランを管理できるため、たとえば昼休みの時間帯には一律スリープモードに移行させるといった設定も可能だという。電源ユニットは、デスクトップPCとワークステーションで効率90%以上の80 PLUS GOLD認証電源が採用される。このほか、ワークステーションでは初となるインテルvPro対応となった点や、ノートPCではメンテナンス性向上のために床面のパネルがリリースボタンの操作で大きく開くようになった点などがトピックとなる。

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