全世界的に市場が拡大しているスマートフォンだが、一方でメーカー間の特許訴訟が増えている。そしてAppleがついにSamsungを訴えた。訴訟の内容はスマートフォンに加えてタブレットをも含むもので、一連のGALAXYシリーズの成功でAndroidの旗手となったSamsungの製品群に対し、Appleは「自社製品をそのまま模倣した」と主張している。
Appleは4月15日に米カリフォルニア州北部地区連邦裁判所に訴状を提出、これをWall Street Journalが4月18日付けで報じた。
Appleは「GALAXY S 4G」「GALAXY S Epic 4G」「Nexus S」などのスマートフォンに加え、タブレットの「GALAXY Tab」などについて、自社特許を侵害していると主張している。訴状の中には「Samsungはスマートフォン製品とコンピュータータブレットで、自社技術と独自のSamsungスタイルのイノベーションや開発を進める代わりに、これらの製品でAppleの技術、ユーザーインターフェース、革新的なスタイルをコピーすることを選んだ」と書かれているという。
Appleはこの中で10件の特許に加え、商標やトレードドレス(字体、デザイン、色彩などの知的所有権)など、合計16件の知的所有権が侵害されたと主張している。これにはスクロール/ピンチング/ズームといったジェスチャー認識関連技術や端末デザインが含まれており、緑色の電話のイラスト、写真ギャラリー用ひまわりなどのアイコン、それにパッケージのデザインについても模倣されたと訴えている。
AppleはSamsungに対し、自社特許と商標の利用を禁じることと損害賠償の支払いなどを求めているようだ。
Appleを始め、Nokia、HTC、Motorolaと
スマートフォン周辺で広がる特許訴訟
さらにBloombergによると、Appleは自社の知的所有権を保護する必要があると語っているという。Samsung側は中核技術の開発と自社知的所有権ポートフォリオの強化が継続的成功の鍵を握るとしており、法廷での戦いに応じる姿勢を見せている。
前述したようにスマートフォンの世界では、メーカー間で盛んに特許訴訟を展開している。AppleはNokiaを提訴しているほか、Androidが中心のメーカーとしては、HTCやMotorolaとも係争中だ。なおGoogleに対しては、Javaの特許を侵害しているとしてOracleが訴えている。
SamsungはNokiaに次ぐ世界2位の携帯電話メーカーである。2011年2月にはGALAXY Sの後継となる「GALAXY S II」を発表し、日本でのリリースも期待されている。さらにGoogleブランドで展開する「Nexus S」も同社の製造となる。タブレットでも今年に入り「Galaxy Tab 10.1」「Galaxy Tab 8.9」の2機種を発表した。
スマートフォンのOSのシェアでは、Android全体ですでにiPhoneの「iOS」を追い抜いたとも言われる。タブレット市場は現在Appleの「iPad」が独占しているが、SamsungのGALAXY Tabは第2位で1割程度のシェアを持つといわれている。Gartnerが今月発表した調査でも2010年のタブレット市場でのiOSのシェアは83.9%、Androidは14.2%。2011年にはiOSは68.7%に減少し、Androidは19.9%に増加すると予想している。