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鳥居一豊の「最新AVプロダクツ一刀両断」 第34回

ほとんどCELL REGZA!? Z系シリーズが大幅ラインナップ強化

3Dとゲームが凄すぎる!! REGZA「ZG2」&「ZP2」

2011年04月20日 17時37分更新

文● 鳥居一豊

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ぴったりダビングなど他機器との連携機能が充実

対応するBDレコーダーへの書き出し時に「ぴったりダビング」を指定すると、選択した番組をディスク1枚にぴったり収まるように、画質変換ダビングが行なえる

対応するBDレコーダーへの書き出し時に「ぴったりダビング」を指定すると、選択した番組をディスク1枚にぴったり収まるように、画質変換ダビングが行なえる

 ZG2とZP2、両シリーズはともにテレビ番組の録画機能を備え(ZG2はダブル録画+地デジ裏番組視聴、ZP2はダブル録画のみ)、「REGZAブルーレイ」などの同社BDレコーダーへのネットワーク経由でのダビング出力に対応しているが、ここに新機能が加わった。これが「ぴったりダビング」である。

 従来は録画した番組をそのままの画質で書き出すだけで、ディスクの容量を超えてしまう場合はダビングができなかった。しかし、新機種では自動で画質変換を行なってディスク1枚に収めることが可能。連続ドラマ全話をまとめてBDに保存するような場合にはかなり重宝する。

同時発表の「REGZAブルーレイ RD-BZ810」(左)と「D-BR1」(右)。HDDレスのD-BR1は縦置きも可能。REGZA用BDライターとも言える

D-BR1の背面。REGZAとはLAN経由(DLNA)で接続し、REGZAで録画した番組を直接BDメディアに書き出せる

D-BR1の背面。REGZAとはLAN経由(DLNA)で接続し、REGZAで録画した番組を直接BDやDVDメディアに書き出せる

REGZAからの操作で書き出す場合は自動的に「ぴったりダビング」となるが、D-BR1から操作する場合は最大3倍の長時間記録ができる

REGZAからの操作で書き出す場合は自動的に「ぴったりダビング」となるが、D-BR1から操作する場合は最大3倍の長時間記録の設定ができる

 これは、同時に発表された新しいREGZAブルーレイとの組み合わせでのみ実現できる。ぴったりダビングの細かい動作については不明な点が多いが、筆者が想像するにBDレコーダー側での対応が必要ということは、REGZAからのダビング出力は番組そのままのDRモードで行ない、レコーダー側で一度、そのままHDD内に録画した後でBDへ画質変換ダビングを行なうものと思われる。

 REGZAブルーレイは、もともと56段階で録画モードを細かく設定できるため、録画したい番組の長さに合わせて柔軟に画質劣化を最小にしたダビングが可能だ。こうした機能を生かしたものと思われる。

ネットワークで、REGZAやREGZAブルーレイのユーザーが録画した番組のランキングなどがわかる「おすすめサービス」

ZG2シリーズでは、録画済みの番組から人気の高い番組を抽出できる「タイムシフトマシン注目番組」も利用できる。録画済みの番組から見たい番組を探すときにユーザーの人気の高さがわかるのは便利だ

約0.3秒で表示が完了する高速な番組表には、「おすすめサービス」のランキングにある番組を知らせる機能が盛り込まれ、番組に王冠マークが表示されるようになった

約0.3秒で表示が完了する高速な番組表には、「おすすめサービス」のランキングにある番組を知らせる機能が盛り込まれ、番組に王冠マークが表示されるようになった

「オートメディアプレーヤー」は、SDメモリーカード(写真左)とUSB接続(写真右)の両方に対応。動画/静止画/音楽の再生が可能だ

 ほかのユーザーが録画した番組タイトルをネットワーク経由で取得し、そのランキングから注目の番組をお知らせする「おすすめサービス」や、「YouTube」視聴にも対応するなど、ネットワーク機能についてはZ2シリーズと同様だ。

 加えて、動画/静止画/音楽などが保存されたSDメモリーカードの挿入やUSB機器の接続を検出し、自動で再生画面に切り替える「オートメディアプレーヤー」機能も備えている。こちらもZ2からの継続機能で特に目新しい機能ではないが、他の機器との連携操作はより快適になっている。

スタンド部分の紐状のパーツはケーブルをまとめるものではなく、転倒防止のために施された工夫。ラックなどにネジ穴を空ける必要があるが、万一に転倒による破損を考えれば、ぜひとも実践しておきたい対策だ

スタンド部分の紐状のパーツはケーブルをまとめるものではなく、転倒防止のために施された工夫。ラックなどにネジ穴を空ける必要があるが、万一に転倒による破損を考えれば、ぜひとも実践しておきたい対策だ

 なお、先日の東日本大震災では、直接的な被災地だけでなく、関東地方でも薄型テレビの転倒などが少なからずあったと思われるが、それも含め、改めて転倒防止対策をアピールしていた。

 REGZAの場合、スタンド根本部分へのネジ固定に加え、ベルトによるネジ固定、紐を使って壁に固定するという、3つの転倒防止機能を備えている。3つとも使えば完璧だが、どれかひとつでも施しておけば十分に転倒防止となるだろう。

32V型を選ぶか、26V型を選ぶか、それが問題だ

 少々無礼な言い方をすれば、今や安価であることが最優先なサイズである32V型以下のモデルでは、低消費電力くらいがアピールポイントで、画質的にはおざなりに上級機と同じ高画質エンジンを備えているくらいのモデルがほとんどだ。

 もちろん、それでもいいモデルはちゃんとあるけれど、最上位機と同等の実力を持つ小画面モデルというのはほとんどない。ZP2シリーズは、そんな潜在的に需要がありそうなのに意外と無視されてきたところに光を当てた点を高く評価したい。というか、筆者は買う。

 問題となるのは、32V型か26V型という選択になる。これが意外と悩ましい選択なのだ。まず、32ZP2は、LEDバックライトの部分駆動を行なう。サイドエッジ型で5分割だ。パネルもIPS方式で色再現範囲を拡大した新開発のものとなる。倍速表示も4倍速相当で行なう。と、このようにZシリーズと同じ高画質を求めるならば、32ZP2に軍配が上がる。

 しかし、26ZP2は驚きの低遅延がある。ゲームをプレイする人にとってはかなり気になる部分だろう。これに関しては、可能ならばかなりやりこんだゲームを実際にプレイしてから決めたいという気持ちがある。

 26ZP2の低遅延がプレイに影響を与えるならば、多少の画質差を考えても26V型を選びたいという気になる。パネルによる色再現が気になるものの、多少のコントラスト感は我慢できるような気もするし、個人的に倍速表示は必要ないので、実はあまりスペック差も気にならない。このあたりの画質差もじっくりと見比べてみたいところだ。

 それにしても、Z2シリーズを見たときにはあまりの出来の良さに、「多分ZG2は3D対応で、クロストーク対策をしっかりやるだけで十分なのでは?」などと油断していた自分が恥ずかしい。

 ZG2は画質も機能もケタ違いだし、ZP2は話を聞いただけで買う気マンマンになり、発表会で購入を決めたくらいだ。基本的にはZ系シリーズ3兄弟なのだが、これだけ個性が明確に違う3兄弟も珍しい。どのモデルにも他の兄弟より優れた面があり、「一番上が良いけど予算的には二番目かな」という後ろ向きな選択をしないで済むというのは、実は製品を買うときの決め手になるし、買った後で後悔しないことにもつながると思う。

 最後に、発表会でぽろっと聞いた話をひとつ。Z2系シリーズの膨大な高画質機能は、できることをすべて盛り込んだものであり、テレビを業務用モニター的に使用する映像制作の現場で試してもらったところ、当然のように好評だったという(現在、業務用テレビモニターも登場しているが、かつてのソニーの「BVM」のような絶対的なリファレンスモデルは存在していないと考えていい)。

 別にREGZAの業務用モニターが登場してほしいと言いたいわけではなく、映像制作の現場の人が「俺のアニメはこの画質設定で見てくれ」なんていう情報を公開してくれてもいいと思うのだ。当然ながらそれは東芝も考えていて、「レグザAppsコネクト」でさまざまなユーザーが行なった画質設定を共有する、というのもアイデアのひとつにあるという。

 個人的にとてもキラーな機能ではあるが、まあ、それを喜ぶユーザーは決して多くないと思うので、新機能はもっと多くのユーザーが喜ぶ機能が優先的に登場するのだろう。

 徹底的にこだわり抜いた画質と、マニアックなまでの調整機能をユーザーに開放するというのは、他社にもあったし、ブラウン管時代にもあったものだが、ネットワーク対応が当たり前になった現在では“情報共有”はテレビの新しい楽しみ方を生み出すかもしれない。東芝はこれまでも半導体の力でテレビの性能を高めてきたが、レグザエンジン CEVOの高い演算能力はそれ以上の可能性さえ秘めていると感じてしまう。Z2シリーズを含め、REGZA Zシリーズは現在最も可能性を感じるテレビだ。

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