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鳥居一豊の「最新AVプロダクツ一刀両断」 第34回

ほとんどCELL REGZA!? Z系シリーズが大幅ラインナップ強化

3Dとゲームが凄すぎる!! REGZA「ZG2」&「ZP2」

2011年04月20日 17時37分更新

文● 鳥居一豊

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2D画質もさらに強化!!
レグザエンジン CEVOの画質性能をフルに引き出す

表示フレームの前後のフレームの情報も参照する「3次元フレーム超解像技術」のイメージ。複数のフレームから同じ情報を持つ映像を重ねることで超解像の精度を高めている

表示フレームの前後のフレームの情報も参照する「3次元フレーム超解像技術」のイメージ。複数のフレームから同じ情報を持つ映像を重ねることで超解像の精度を高めている

 2D表示の場合は、基本的にはZ2シリーズと同様に複数枚超解像技術を採用した「3次元フレーム超解像~レゾリューションプラス6」での処理となる。簡単におさらいすると、表示フレームに対し、直前のフレーム2枚と直後のフレーム1枚の合計4枚の映像情報を参照することでより精度の高い超解像処理を行なうもの。

 発表会でこの超解像について詳しく聞いたのだが、3次元フレーム超解像技術の効果は動いている映像に働く。ただし、筆者も勘違いしていたのだが、動きのある映像=素早い動きの映像ではない。

 3次元フレーム超解像では、前後のフレームにある映像の同じ部分の情報を重ねることで、超解像の精度を高める。だから、映像の動きが速すぎると、前後のフレームを参照しても同じ映像情報がすでに消えてしまっていることがあり、かえって効果は得られにくい。

 そのため、有効な効果が得られるのはカメラがゆっくりと動くパンニングや、固定したアングルで撮影される動物のゆっくりとした動きなど、ということになる。効果としては解像感の向上だけでなく、ノイズの低減もあるという。

テレビ放送などで1/4に圧縮されている色情報を元通りに復元する「色の超解像」。色の境目をより精密に再現でき、色再現をより精細に行なえる

テレビ放送などで1/4に圧縮されている色情報を元通りに復元する「色の超解像」。色の境目をより精密に再現でき、色再現をより精細に行なえる

 これに対し、もうひとつの超解像技術である「色の超解像」は、静止した画像でも効果がある。テレビ放送やBDソフトなどでは色信号が1/4に圧縮されて記録されているが、これを元通りに復元することで、混色による解像感の低下の少ない、鮮明な再現が行なえるものだ。

 このほか、従来から搭載されている超解像技術である「自己合同性超解像」(着物の模様など画面内の映像から似た部分を探して情報量を高める技術。SD映像ソースでのみ有効)なども盛り込まれている。

 超解像という言葉が一般にも認知され、今では高画質技術において欠かせないものとなっている。これは「消えてなくなったものをもう一度復元する」技術だが、勝手に信号を復元してしまえばオリジナル映像から遠ざかってしまうこともある。それだけに、精度が重要だ。複数のフレームを参照するのも精度を高めるためであり、誤差による間違った復元が少ない技術なのだ。

 映像処理による誤差を少なくする手法としては、レグザエンジン CEVOでの映像処理の1チップ化も有効だそうだ。1チップ化することにより、それぞれの処理をすべて16bit信号のまま伝送・処理できるため、誤差の発生を少なくできるという。

 こうしたことを含め、レグザエンジン CEVOはすべてを一から設計し直した、まったくの新開発チップであり、それはかつて(REGZA以前)の「メタブレイン」登場時以来のブランニューだという。

 当然のことながら、今後のREGZAは当分の間レグザエンジン CEVOを使っていくことになるので、そのポテンシャルはかなり高いものとして設計しているということだ。

 ただし、かつてのメタブレインは、やがてすべてのREGZAに搭載されたが、レグザエンジン CEVOはそうではないという。もともと上級機のための高画質エンジンとして開発されたものでコストも高いため、普及価格帯のモデルに搭載するのは難しいとのこと。

 今後は普及機に搭載される「レグザエンジン」と、上級機だけのレグザエンジン CEVOという住み分けになるわけだ。

画面を細かいブロックに分割し、そのエリア内でのブロックノイズやモスキートノイズを低減する「ブロックノイズクリア CEVO」。エッジ部とテクスチャー部を判別し、ノイズだけを的確に除去する

画面を細かいブロックに分割し、そのエリア内でのブロックノイズやモスキートノイズを低減する「ブロックノイズクリア CEVO」。エッジ部とテクスチャー部を判別し、ノイズだけを的確に除去する

 ZGシリーズでのみ搭載された「ブロックノイズクリア CEVO」は、映像の細部やテロップ文字の輪郭などに発生しやすいブロックノイズやモスキートノイズを低減するもの。映像をブロックごとに分割してテクスチャー部とエッジ部分を検出し、エッジ部分に現われるノイズを低減する技術だ。ノイズ除去によりテクスチャー部の質感までも消してしまうことがなく、ノイズだけを除去できる。

LEDバックライトのエリア駆動による高コントラスト化のイメージ。暗い部分ではLEDを消灯することで、引き締まった黒の再現を可能にしている

LEDバックライトのエリア駆動による高コントラスト化のイメージ。暗い部分ではLEDを消灯することで、引き締まった黒の再現を可能にしている

LEDバックライトのスキャニングの様子を撮影したもの。横に配置されたLEDが上から下に消灯していることがわかる。分割数は8つとなる

LEDバックライトのスキャニングの様子を撮影したもの。横に配置されたLEDが上から下に消灯していることがわかる。分割数は8つとなる

 4倍速IPSパネルも新開発となり、色再現範囲の拡大やコントラスト感の改善を果たした。サイドエッジ型のLEDバックライト+エリア駆動はZ2シリーズと同様だが、倍速表示は4倍速パネルを使うことで480コマ相当となっている。

 ちなみに、倍速表示については従来のモデルから「倍速ワイドエリア補間」の設定で、「ワイド」と「スタンダード」が選択できるようになっているが、この違いについても聞いてみた。

 ワイドは動きを検知するエリアをヨコ方向に広げるもので、タテ方向のエリアは広がらない。スタンダードの場合は検知エリアが狭い分、ゆっくりとした細かい動きに強く、またタテ/ヨコ/ナナメの動きへの対応力もある。

 今回じっくりと試すことはできなかったが、スポーツなどではワイドが有利になると感じたし、多くの映像ではワイドの方が効果が高いだろう。出荷時の設定もワイドだ。

 ドキュメント番組など、ゆっくりとした動きでより正確な再現を求めるときなどはスタンダードを選ぶといいだろう。

 このように、ZG2シリーズは、6ch同時録画機能「タイムシフトマシン」の搭載に加え、3D搭載や2D画質もZ2シリーズに比べて大幅に強化されたモデルとなった。機能的なボリュームや画質のポテンシャルを含め、最上位モデルにふさわしい内容だ。

 なにより、CELL REGZAの録画機能に憧れながら、高価なために手を出せなかったユーザーにとっては福音と言ってもいいモデルだろう。

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