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山谷剛史の「中国IT小話」 第94回

香港電脳街へのいざない

2011年04月19日 12時00分更新

文● 山谷剛史

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香港でも高齢化やサブカル化が進む

おじさんがとにかく多い

おじさんがとにかく多い

 「旺角の夜は若者でごった返す」と書いたが、その他の電脳街はどうかというと、まるで日本のデジャブかのように利用者の高齢化が見られる。

 ざっくりいえば、客層は数年前まではまだ若者がいたのに、今やおじさんばかりというわけだ。また、アキバのようにPCパーツが多くのショップで販売されていて、そうした店ではショップブランドPCを購入することができる。

PCショップのパンフレット

 ショップブランドPCは1500香港ドル(日本円で約1万6000円)から1万香港ドル(同約10万円)を超える製品まで様々だ。

 中国本土やベトナム・タイの大都市などでは、数年前まではショップブランドPC(自作PC)全盛だったが、所得の向上の結果、ノートPCばかりが売られるようになった。

 中国本土などでは、携えるデバイスで身分の高さを証明するような社会環境だから、できるだけ背伸びしてノートPCを買おうとする。「ノートPCを買いたい人はノートPCを買えばいいし、デスクトップPCを買いたい人はそれもよし」という、日本とは対極に位置するわけだ。

 香港は元々所得が高いから、ガジェットを携える程度で、自らをアピールすることなんて日本同様できることもない。このような社会環境から、ノートPCはもちろん、ローエンドなパーツを集めたローコストなPCから、ハイエンドPCまで、様々な機種を各ショップは提案しているわけだ。

 気づいてみれば、香港の電脳街は日本のアキバや日本橋のPCパーツ屋が集中する地域そのものになってきているわけだが、そのアキバや日本橋は今やアニメを含めたサブカルの街だ。

信和中心には日本製品の代理購入業者が複数、店を構えている

 香港には電脳ビルがあるように、サブカルビル「信和中心」がある。信和中心には、アニメや音楽やゲームの店がズラリ並び、そこに個性的な雑貨店も混じる。信和中心は以前は日本でも「オタクビル」と称されていたが、ヴィレッジヴァンガードのようなサブカルビルに様変わりした。

信和中心の様子

 香港は中国本土とはだいぶ雰囲気が違うが、香港の隣には、「山寨機」の聖地にして世界最大の“電子街”「深セン」がある。

 2つの都市の電脳街は地下鉄駅前にあり、今は迷わず簡単に行くことができる。電器屋巡りが好きな読者は、香港と深センの2都市の電脳街巡りをしてみるのをオススメする。

 特に深センではオシャレでない服装(できればラフな服装)だと、同じ東アジア系の顔ゆえに、現地に溶け込めやすい。外国人ならではの反応をされることはないだろう。


山谷剛史(やまやたけし)

著者近影

著者近影

フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。最新著作は「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)

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