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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」第53回

ボカロで武道館も夢じゃない? デPフェス、奇跡の大成功

2011年04月16日 12時00分更新

文● 四本淑三 写真● 前田佑規

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ミクは武道館デビューしてます

―― ところで武井さんは、なぜPAを選んだんですか? レコーディングではなくて。

武井 レコーディングのほうが果てしなく根気がいるじゃないですか……。ライブはどんなに苦労しても、その日が終われば絶対終わるんです。PAの道へ入ったのは78年のボブ・ディラン来日を武道館で観たら、とても残念な音だったからですね。生意気にも自分ならマシな音が出せるのではと思ったんです。もちろんPA技術がまだ未発達だったせいですけど。

―― ボカロが好きなPAエンジニアって珍しい気もしますが、どこがいいですか?

武井 うーん、どこでしょうねえ。僕はボブ・ディランとか、アメリカのサザンロックとか、R&Bとかを若い頃に聴いてきたんですが、そこから先にのめり込める音楽というのは、そんなには出てこなかった。こういう仕事をしつつも、音楽との関わり合いが薄かったのかも知れない。そこにボカロが出てきて、新鮮なものを聴かせてもらったわけです。人間でないものが歌うこともそうだし、そこで出てきた人たちの新しい才能も。それで一気にCDを買う量も増えましたから。

会社の一階には巨大なスピーカーがゴロゴロ(筆者撮影)事務所には1台1000万円というサウンドクラフトのPAコンソールが何台も(筆者撮影)事務所のドアには何故かこんなキャラが(筆者撮影)

―― 買いに行かれるんですか?

武井 行きますよ。とらのあなとか。そこにはTSUTAYAやタワレコやHMVでは、1枚も見つけられない音楽が山のようにあることを知ってショックを受けましたね。東方もそうですけど。ボカロはジャンルではなく、音楽の演奏のスタイルでしかないから、ボカロを聴いていると色んなジャンルを横断して聴けるという楽しみがありますね。

―― でも専門が音響じゃないですか。音は満足できますか?

武井 鼻そうめんP(関連記事)は音がすごくいいんですよ。もちろん曲もいいですけど。スピーカーシステムのチューニングをやるときに、最後にかけるのは「インカーネイション」ですね。

―― そういえばデPフェスのリハでもかけてましたよね。

武井 そうそう。あの曲のキックが正しく聴こえれば低音はバッチリ。ミクの声が痛くなくて、でもクリアに聴こえていればハイはOK。

―― 他の現場でもそれやってます?

武井 ええ。武道館に行っても、他のアリーナに行っても、どこでもかけてます。

―― じゃあ、鼻そうめんPは武道館デビュー済なんだ!

武井 ミクは武道館デビューしてますね。大阪城ホールでもKZさんの「packaged」を爆音でかけました。まあ、お客さんが入る前ですけど。こないだのフランクフルトのミュージックメッセでも「インカーネイション」をかけてきましたよ

※ 世界中の音響関係のバイヤーが集まる屋外展示場で、鼻そうめんPをかけてしまったらしい。その模様を武井さんがニコニコ動画に上げている。こちら

(次ページに続く)

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