大口径ファンや複数ファンを搭載した高冷却モデル
現在CPUクーラーに搭載されるファンのサイズは120mmが主流となっているが、140mmファンを搭載した製品や複数のファンを搭載した製品も存在する。ファンの口径や数が増えれば当然風量も増えるわけで、冷却性能は高くなる。クーラーのサイズは大きくなるものの冷却性能を重視するなら、そういったモデルを選択するのもアリだろう。
ヒートパイプの方式による違い
最近のクーラーではほとんどの製品でヒートパイプが採用されているがヒートパイプの数、太さ、コア部の接触方式などに違いがある。
まず太さについてだが、現在の製品では多くの製品が6mm径を採用。一部8mm径のモデルもあるが、冷却性能に与えるインパクトはそれほど大きくない。一方で、大きなデメリットもないため好みで選択していいだろう。
また、ヒートパイプの接触方式には直接CPUのコア部に接触する“直接触式”(ダイレクトタッチ等とも呼ばれている)と”非接触式”の2種類がある。一時期“直接触式”の製品が多くなっていたが、2010年から2011年にかけて発売されたモデルについては半々といったところ。実際ベンダーによっては“直接触式”に明確なメリットがないため採用を見送っているところもあり、その効果の程は未だ定かではない。
簡易水冷キットによって水冷はより身近に
これまで水冷方式のCPUクーラーというと冷却性能は高いものの、大掛かりかつ、メンテナンスも面倒なイメージがあり、一部のハイエンドユーザー向けといった趣が強かった。ところが、そんな状況を打破したのが2009年にリリースされたCORSAIR「CWCH50」だ。
CWCH50はメンテナンスフリーの簡易型水冷ながら、高い完成度と冷却能力によりユーザーの信頼を勝ち取り、CPUクーラーに「簡易水冷」という新しいジャンルを確立した。その後、多くのメーカーから簡易水冷キットが発売されたことで、価格も下がりハイエンドの空冷クーラーとの価格差もなくなってきている。
これから夏にかけ暑くなる時期に向けてCPUクーラーの購入を考えているなら、思い切って簡易水冷に手を出してみるのも面白い。
PCは性能だけでなく安定性も重要
ここまで、PCケース/電源ユニット/CPUクーラーのいまどきについて紹介してきた。いずれも性能に直接影響のないパーツばかりで、ある意味最もコストを削減しやすいパーツといえる。実際、安いものと高いもので非常に価格差のあるジャンルでもある。
しかし、どんなに高性能なPCでも安定して動作しないのでは宝の持ち腐れ、実際にPCを使う上では性能以上に安定して動作することが重要なのは言うまでもない。そう考えると高エアフローのケース、安定した電源出力を持つ電源ユニット、冷却性能の高いCPUクーラーといったパーツはパフォーマンス以上に重視されるべきだ。
アキバのパーツショップ店員の多くも、CPUやビデオカードといったパーツ類より、PCケースや電源ユニット等に予算を多めに割くという人が多い。それほど、重要なパーツと位置付けているわけだ。是非、本特集を参考にしてパフォーマンスだけでなく、長く使える安定性を重視したPCを構築してほしい。
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