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【所長コラム】「0(ゼロ)グラム」へようこそ

誰がガラケーをやめてこれからスマートフォンを買うのか?

2011年04月15日 09時00分更新

文● 遠藤諭/アスキー総合研究所

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iPhone購入意向者より
Android購入意向者のほうが“普通”?

図6 性・年代別のiPhone/Androidの購入意向率

 スマートフォンの購入意向率を性・年代別で集計してみると(図6)、20代では男性よりも女性がiPhoneを欲しがっているということがわかる。グラフにはないが、同じ20代女性でも特に20代後半(25~29歳)のiPhoneの購入意向率は突出している。なお、10代のiPhone購入意向が高いのも見逃せない点だ。このグラフは購入意向者に占める年代の比率だが、それぞれの性別・年代別に占める購入意向率で見ると、実に「10代が最もiPhoneを欲しがっている」という結果となる。

 一方、Androidの購入意向率では、女性の比率は男性の半分程度になっている。昼間のバラエティ番組でもアプリが紹介されるほどiPhoneがポピュラーな存在になっているのに対して、Androidはまだ認知が低いからだろう。もっとも、全体としてはiPhoneの購入意向率が10.5%であるのに対して、Androidの購入意向率は12.2%と、わずかながらAndroidのほうが高い。

 性別・年代以外の傾向について、図7はiPhone/Androidの購入意向者と、アンケート回答者全体の「好きなコンテンツ」を比較したグラフである。Android購入意向者では、「ガンダム」、「エヴァンゲリオン」、「攻殻機動隊」が飛び出している。ただし、これは「アニメ好き」が多いというよりも、購入意向者の中心が30代後半の男性だからだろう。

図7 iPhone/Android購入意向者の「好きなコンテンツ」(iPhone購入意向者の嗜好順に並べた)。Android購入意向者は、「ガンダム」と「エヴァンゲリオン」を好む。もっとも、全体的な傾向としては、Android購入意向者のほうがiPhone購入意向者よりも、全回答者の嗜好に近い

 ここで最も注目すべきは、Android購入意向者と全回答者の傾向がかなり似ているということだ(Android購入意向者と全回答者を表すグラフが、同じように上下している)。図8は「よく遊びに行く街」について集計した結果だが、こちらからも同様の傾向が見て取れる。

図8 iPhone/Android購入意向者の「よく遊びに行く街」。こちらもiPhone購入意向者の嗜好順に並べてみると、Android購入意向者の動きが、全回答者とシンクロしていることがわかる。iPhoneのデータで降順に並べてあるのでより強調されているが、Androidの購入意向者のほうがより一般に近いことは確かだ

 iPhone利用者には、発売当初から「Mac」利用者の割合が多い、「自営業」の比率が高い(デザイナーなどがここに含まれる)などといった特徴があった。一般の利用者の割合も増えてはいるが、これからiPhoneを買う人にも、まだ“ユニークな層”が多いということだ。

持っているスマーフォトンの機種で
その人の嗜好を知る

 ここまで見てきて、iPhoneとAndroidでは、購入意向層にかなりの違いがあることがわかる。そして、この記事のタイトルでもある「これからスマートフォンを買うのは誰か?」という問いに対する答えとしては、次のようになるだろう。

 iPhoneは、10代や20代後半の女性層に注目だが、全体としては、iPhone独特のユーザー層に支えられて伸びていくだろう。

 Androidについては現在のところ、購入意向者は30代後半をピークにして男性が3分の2近くを占める。これは、Androidの認知が進むことや、現在の半分程度のサイズの女性向け端末(海外ではすでに販売されている)の登場などによって、変化していくだろう(もっとも、この領域にはアップルも「iPhone mini」を投入するという噂はある)。全体としては、Android端末は従来の携帯電話の延長線上に捉えられている部分が大きい。いまのところ、利用者の職業としては営業職やエンジニア、管理職にやや偏っているAndroidだが、iPhoneに比べると、実は購入意向者の嗜好は一般的なものに見える。この“フツーさ”が、Androidの市場を一気に広げる材料となるのではないだろうか?

 しかし、今後のスマートフォン利用者の姿として注目すべきは、スマートフォンで積極的にソーシャルメディアを利用する人たちだ。そうした層が、「ソーシャルネイティブ」ともいうべき新しい日本人のひとつの姿となってくる。スマートフォンが、かつての自動車のように、生活スタイルを決める最も重要なファクターになる可能性もあると思う。これを、スマートフォン利用者の最終的なゴールと考えて、ビジネスを組み立てるのがよいのではないか?

図9 ガラケーからスマートフォンへの移行の図式。ガラケーユーザーのうち、既存のiPhoneユーザーに近い層がiPhoneを、より一般的な層がAndroidに移行する。そして、それぞれにはソーシャルメディアを利用する層が含まれており、これが「ソーシャルネイティブ」だ。

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