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震災から1ヵ月、グーグルは「まだ走り続けている」

2011年04月15日 12時00分更新

文● 広田稔

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呼びかけで集まった1万枚の写真

―― そうした膨大なデータの入力には、ネットで募ったボランティアが貢献したと聞きました。避難所に貼られた安否情報をオンライン写真管理サービスの「Picasa」にアップロードし、人力で情報を打ち込んでいったと(関連リンク)。

富永 最初にブログで告知してから、パーソンファインダーには10数万件ほどの登録がありました。その後、5000人くらいにご協力いただき、Picasaにある1万枚の写真を見て、データを目で確認し、手でひとつひとつ登録しています。当初はグーグルの社員だけでやっていたのですが、とても間に合わない。そこで、力を貸してくださいとボランティアを呼びかけたのが、3月17日です。

Picasaに寄せられた大量の写真

三浦 実はその前から外部の一部の方々が自主的に入力してくれていたんですよね。Picasaの画像は外部に公開していますし、パーソンファインダーも誰でも登録できる。すでにマニュアルもできていたんです。安否情報が写った画像のコメント欄に「チェックしてください」って書き残して、他のユーザーにダブルチェックしてもらい、「確認しました」とコメントしてもらうとか。

ブラッド 私の妻も入力ボランティアに参加していましたが、見ず知らずの人に「私たちがチェックします」と声をかけられてびっくりしたと聞きました。普段は「どうやったら、みんなに協力してもらえるんだろう」って考えながらスパム対策などのサービスを作っているんですが、このときほど人が積極的に集まってきたことはなかった。感激しました。

三浦 われわれの想像を超えていましたね。

コメントのやりとりも徐々に形になってきた

―― そもそもPicasaに写真が1万枚も集まったことがスゴいですよね。

三浦 避難所に貼り出されている名簿をどうやったらデータ化できるかと考えた場合、現地にはPCもないし、ケータイ(通話)も繋がらない。でもデータ通信は使えて、メールも飛ばせる。じゃあケータイのカメラでもそれなりの解像度があるし、画像データさえあればなんとかできるはず、と考えたんです。

―― グーグルさんから投稿を呼びかけられたんですか?

三浦 そうですね。どうしたら避難所の方にリクエストを受け取ってもらえるのか、社内で議論しました。エンジニアだけでなく、広報やマーケティングなど、いろいろな部署が関わっているんです。作ったところで誰にも使っていただけなければ意味がないですし。

富永 深夜2時に公式ブログで告知したのを覚えています(該当記事)。本当に届くだろうかと、みんな同じ気持ちでした。そうして次の日にPicasaにアクセスして写真が出てきた瞬間、本当に涙が出ましたね。オンラインメディアさんが紹介してくれたり、ものすごく多くの方にツイートしていただいて、すごくうれしかったです。本当に多くの人に支えられて、何とかシステムが回っていきました。

公式ブログで告知したのは深夜

―― ネットだけでなく、NHKや新聞社などと安否情報のデータベースを共通化したことも、登録件数の増加につながったと思います。NHKとはどういった経緯で連携が実現したのでしょうか?

三浦 データベースは、どれだけ多くの情報が載っているかが重要です。ですから、エンジニアの中にも、かなり早い段階からNHKなど外部の安否情報と同期をとれないかと考えて動いている人たちがいました。

富永 たまたまNHKの方とお話したときに「できませんかね?」と伝えたらそこでつながって、担当の方が「データベースは一元化されていることに意味がある。やりましょう」と提案してくださったんです。

(次ページに続く)

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