2011年ビデオカード選びのポイント
ここまで、購入前の注意事項について解説してきたが、次に2011年ビデオカード選びのポイントを確認しておきたい。
NVIDIAのGeForceで構築可能な「SLI」や「PhysX SLI」、AMDのATI Radeonで構築可能な「CrossFire X」といったいわゆるマルチGPU環境については従来通りなので省略。ここでは、2011年版ビデオカード選びの際の注目点を以下の3点に絞ってみた。
- 3D対応PCを組む(NVIDIA 3D Vision導入)
- 3画面以上の多画面出力をする
- ビデオカードの性能(GPUの種類をしっかり把握する)
3D対応のPCが簡単に自作可能
もはや使い古された感もある“2010年は3D元年”というフレーズ。2011年の現在、3Dをちょっと流行ったネタ扱いにするような人はもはやいないはずだ。それだけ認知度を一気に高めた3Dだが、もはやPCの世界では当たり前の機能となりつつある。その筆頭となるのが、アクティブシャッター方式を採用するNVIDIAの「NVIDIA 3D Vision」(以下3D Vision)だ。
もはや説明不要というユーザーも多いだろうが、もう一度3D Visionについて簡単に確認しておこう。3D Vision利用にあたっては、NVIDIA製GPUを搭載した対応ビデオカードとリフレッシュレートが120Hzの3D Vision対応液晶モニター、3Dメガネやトランスミッターが含まれる「3D Visionキット」が必須となる。対応ビデオカードはこの1年で発売された製品であればすべてOK(スペック表を確認)。GTS 450以上の製品であれば3D Visionの機能はすべてサポートしている。
より簡単になった多画面出力
以前であれば結構な手間がかかった多画面出力だが、最近では1枚のビデオカードで容易に3画面出力も可能だ。対応液晶モニターの問題をクリアする必要があるものの、なかには1枚のビデオカードで最大5画面出力が可能となる「Radeon HD 6870」搭載ビデオカードなどというものもある。
NVIDIAの「NVIDIA 3D Vision Surround」(GTX 590以外ではSLI構成が必要)やAMDの「AMD Eyefinity テクノロジー」など、液晶モニターも安くなった今、あえて挑戦してみるのも悪くはないだろう。
ビデオカードの性能を確認しよう
最新ビデオカードの基本性能を大まかに把握したところで、いよいよ各GPUの性能を確認していきたい。といっても数が多すぎるので、まずは以下のスペック表を参照してもらおう。併せて秋葉原での初登場時の記事も発売日順に用意してみた。どのGPUがいつ頃に発売となったのか、大体の流れが掴めるはずだ。
AMD「Radeon」シリーズ
Radeon スペック一覧表 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
GPU名 | HD 6990 | HD 6970 | HD 6950 | HD 6870 | HD 6850 | HD 6790 |
開発コードネーム | Antilles | Cayman | Cayman | Barts | Barts | Barts LE |
製造プロセス | 40nm | |||||
シェーダバージョン | 5.0 | |||||
DirectX | 11.0 | |||||
SP数 | 1536×2 | 1536 | 1408 | 1120 | 960 | 800 |
ROP数 | 32×2 | 32 | 32 | 32 | 32 | 16 |
コアクロック | 830MHz | 880MHz | 800MHz | 900MHz | 775MHz | 840MHz |
シェーダクロック | 830MHz | 880MHz | 800MHz | 900MHz | 775MHz | 840MHz |
メモリクロック(相当) | 5000MHz | 5500MHz | 5000MHz | 4200MHz | 4000MHz | 4200MHz |
メモリタイプ | GDDR5 | |||||
メモリインターフェイス | 256bit | |||||
メモリサイズ | 2GB×2 | 2GB | 2GB | 1GB | 1GB | 1GB |
最大消費電力 | 375W | 250W | 200W | 151W | 127W | 150W |
外部電源 | 8ピン+8ピン | 8ピン+6ピン | 6ピン+6ピン | 6ピン+6ピン | 8ピン | 6ピン+6ピン |
秋葉原での発売日 | 2011/3/8 | 2010/12/15 | 2010/12/15 | 2010/10/22 | 2010/10/22 | 2011/4/6 |
2009年~2010年中盤にかけて「Radeon HD 5000」シリーズをヒットさせたAMD。2010年後半に新シリーズとなる「Radeon HD 6000」を投入する余裕のあるスケジュールに見える。
いまだにローエンド~ミドルレンジ帯の一部を「Radeon HD 5000」シリーズが担っているという点はあるものの、ここ1年で登場したGPUは計6モデルある。今後は「Radeon HD 6000」シリーズのローエンド~ミドルレンジの新製品が登場してくるはずだ。
NVIDIA「GeForce」シリーズ
GeForce スペック一覧表 | |||||
---|---|---|---|---|---|
GPU名 | GTX 590 | GTX 580 | GTX 570 | GTX 560 Ti | GTX 550 Ti |
開発コードネーム | GF110 | GF110 | GF110 | GF114 | GF116 |
製造プロセス | 40nm | ||||
シェーダバージョン | 5.0 | ||||
DirectX | 11.0 | ||||
SP数 | 512×2 | 512 | 480 | 384 | 192 |
ROP数 | 48×2 | 48 | 40 | 32 | 24 |
コアクロック | 608MHz | 772MHz | 732MHz | 822MHz | 900MHz |
シェーダクロック | 1215MHz | 1544MHz | 1464MHz | 1644MHz | 1800MHz |
メモリクロック(相当) | 3414MHz | 4008MHz | 3800MHz | 4008MHz | 4104MHz |
メモリタイプ | GDDR5 | ||||
メモリインターフェイス | 384bit | 384bit | 320bit | 256bit | 192bit |
メモリサイズ | 1536MB×2 | 1536MB | 1280MB | 1GB | 1GB |
最大消費電力 | 365W | 244W | 219W | 170W | 116W |
外部電源 | 8ピン+8ピン | 8ピン+6ピン | 6ピン+6ピン | 6ピン+6ピン | 8ピン |
秋葉原での発売日 | 2011/3/24 | 2010/11/9 | 2010/12/7 | 2011/1/25 | 2011/3/15 |
GPU名 | GTX 465 | GTX 460(1GB) | GTX 460(768MB) | GTX 460 SE | GTS 450 |
開発コードネーム | GF100 | GF104 | GF104 | GF104 | GF106 |
製造プロセス | 40nm | ||||
シェーダバージョン | 5.0 | ||||
DirectX | 11.0 | ||||
SP数 | 352 | 336 | 336 | 288 | 192 |
ROP数 | 32 | 32 | 24 | 32 | 16 |
コアクロック | 607MHz | 675MHz | 675MHz | 650MHz | 783MHz |
シェーダクロック | 1215MHz | 1350MHz | 1350MHz | 1300MHz | 1566MHz |
メモリクロック(相当) | 3206MHz | 3600MHz | 3600MHz | 3400MHz | 3608MHz |
メモリタイプ | GDDR5 | ||||
メモリインターフェイス | 256bit | 256bit | 192bit | 256bit | 128bit |
メモリサイズ | 1GB | 1GB | 768MB | 1GB | 1GB |
最大消費電力 | 200W | 160W | 150W | 150W | 106W |
外部電源 | 6ピン+6ピン | 6ピン+6ピン | 6ピン+6ピン | 6ピン+6ピン | 8ピン |
秋葉原での発売日 | 2010/6/1 | 2010/7/12 | 2010/7/12 | 2010/11/16 | 2010/9/13 |
GPU名 | GT 440 | GT 430 | GT 520 | ||
開発コードネーム | GF119 | GF108 | GF108 | ||
製造プロセス | 40nm | ||||
シェーダバージョン | 5.0 | ||||
DirectX | 11.0 | ||||
SP数 | 48 | 96 | 96 | ||
ROP数 | 8 | 4 | 4 | ||
コアクロック | 810MHz | 810MHz | 700MHz | ||
シェーダクロック | 1620MHz | 1620MHz | 1400MHz | ||
メモリクロック(相当) | 1800MHz | 1800MHz | 3200MHz | ||
メモリタイプ | DDR3 | GDDR5/GDDR3 | DDR3 | ||
メモリインターフェイス | 64bit | 128bit | 128bit | ||
メモリサイズ | 1GB | 1GB/512MB | 1GB | ||
最大消費電力 | 29W | 65W | 49W | ||
外部電源 | - | - | - | ||
秋葉原での発売日 | 2011/4/13 | 2011/2/1 | 2010/10/11 |
一方のNVIDIAは、劣勢を挽回すべく2010年は積極的に新GPUを投入。ローエンド~ミドル~ハイエンドまで幅広いラインナンップを隙間なく投入してきている。ここ1年で登場したGPUは、AMD「Radeon」シリーズのほぼ倍となる計13モデル。
中にはすでに店頭で見つけるのが難しい製品もあるほか、「400」番台と「500」番台で世代がまたがるために、どうしても前者の「400」番台が付くモデルは古いという印象が付きまとってしまう。
(次ページへ続く)
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