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アキバで恥をかかないための最新パーツ事情2011 第3回

知ったかできるパーツ基礎知識【ビデオカード編】

2011年04月14日 12時00分更新

文● 山県

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カードの厚みは基本的に2スロット仕様だと思うべし

 インターフェイスを確認したら、お次はビデオカードの物理的なサイズを気にしておきたい。サイズというのは、従来であればもっぱら厚みのことを指していたのだが、最近では25cmを越えるような非常に長い製品も増えてきており、長さについても非常に重要なポイントとなっている。

長さが実測約31cmとなるAMDのウルトラハイエンドGPU「Radeon HD 6990」搭載カード。まずは自分のケースに収納可能なのか、そこから考えなくてはいけないサイズだ

 もちろん、いずれも薄くて短いほうがいいのは言うまでもないのだが、昨今のGPU高性能化はカードの大型化を促す傾向にある。基本的に今やAMD/NVIDIA双方が発表するリファレンス仕様の製品は、ミドルレンジ帯以上のすべてのモデルで隣接スロットを占有するタイプの2スロット仕様となっているのが現状だ。

Radeonシリーズのミドルレンジ代表格となる「Radeon HD 6850」。豊富な出力インターフェイスが用意され、冷却クーラーは2スロット仕様となる

こちらはNVIDIAのミドルレンジGPU「GeForce GTX 560 Ti」。やはりリファレンススペックで2スロット仕様となっている

 ゆえに、マザーボードにある拡張スロットのPCI Express x16直下のスロット(基本的にPCI Express x1の場合が多いと思われる)は、あらかじめ使えないものとして認識しておく必要がある。
 特にCorssFire XやSLIといったマルチGPU環境を念頭に置いている人は、構成によってはビデオカードだけで4スロットを消費するということになるので、重々気をつけておきたいポイントだ。あとあと、地デジチューナーカードやUSB3.0カードなどを増設しようと思ったら、スロットの空きがない。もしくはビデオカードのエアフローに悪影響を与えるといったことまで考えられる。
 比較的拡張スロット構成に余裕のあるATXフォームファクタのモデルはいいとして、コンパクトなMicro ATXモデルをその場の判断で選んでしまうと、文字通り拡張性に乏しいPCとなるので注意したい。

3スロット占有の大型VGAクーラー「DirectCU II」を採用するASUSTeK製の「GeForce GTX 580」搭載ビデオカード「ENGTX580 DCII/2DIS/1536MD5」。迫力十分といったところだが、さらにSLIにも対応するので、その場合は6スロット占有!?となる計算だ

ビデオカードの発熱具合を把握しておこう

 さて、今回あえて取り上げたビデオカードの発熱についてだ。ここ数年、比較的低消費電力/低発熱化が進んでいるCPUだが、それと逆行するようなかたちで大きな熱源と化してしまっているのがビデオカードだ。
 そもそも、先ほど「基本的に2スロット仕様と思え」と紹介したばかりだが、これはひとえにGPU側の発熱問題に原因があるのはいうまでもない。というわけで、最新PCを組もうと思ったら、このビデオカードの発熱問題は避けては通れない課題となるのだ。

室温約20℃の環境で計測したGPUの最高温度(単位:℃) ←Better

 では、具体的にどのような点に気をつければいいのだろうか。まず始めに、自分が購入しようと考えているビデオカードの冷却構造(排熱構造)を確認しておきたい。
 ほとんどの製品で2スロット厚と先ほどお伝えしたが、採用する冷却クーラーの構造はリファレンスモデルに準拠していない限りはメーカー/モデルごとにすべて異なる。大きなヒートシンクを搭載したり、ヒートパイプを組み合わせたりは当たり前。メーカーオリジナルの“○○テクノロジー”などと目にする機会も非常に多い。

リファレンスモデルに準拠していないメーカーオリジナルの冷却構造を採用する製品も多い。おおむねリファレンスよりもさらに冷えることをウリにすることが多いが、実際に使うからにはその冷却構造をしっかりと把握し、ケース内エアフローをより良い環境に保っておきたい

 いずれにせよ、ケース外排気なのか、内排気なのか程度は確認しておきたいポイントで、それによってPCケース内のエアフローにも配慮していく必要があるのである。よって新規にPCを組む場合、ビデオカードとPCケースの相性は非常に重要。ビデオカード増設のみの場合も、手持ちのPCケースのエアフローを再確認し、必要であればケースファンの増設や交換を行なっておきたい。

ハイエンドPCケースのなかには、ビデオカード専用のクーリングユニットを用意していることも。オプション扱いというパターンもあるので、ビデオカード購入時によく確認し、必要に応じてケースファンの増設や交換をしよう。写真はアビー製のVGAクーリングファンユニット

PCI Express補助電源コネクタ

 スロット形状やカードサイズ、PCケースの内部も確認したら、最後は補助電源のチェックだ。現在、ミドルレンジ以上のビデオカードには「PCI Express補助電源コネクタ」が付いている。ここに電源ケーブルを差さないと正しく動作せず、大抵の場合はBIOS画面も出ずに起動もしない。
 さすがにここ最近は「ビデオカードに電源を差すなんて……」という人も少なくなったと思うが、逆にモデルによっては特殊な構成もあるので一度確認しておかなければならない。
 2011年4月の時点で、ビデオカードの補助電源コネクタには写真のように5種類ある。このうち、8ピンのコネクタはCPU用の8ピンコネクタに酷似しているが、まったく別物なので誤って差さないよう要注意。無理やり差すと、ショートしてビデオカードが壊れてしまうことがあるからだ。

ローエンド製品に多い補助電源コネクタがないパターン

ローエンド~ミドルレンジの製品に多い補助電源コネクタ「6ピン」のパターン

ミドルレンジの製品に多い補助電源コネクタ「6ピン+6ピン」のパターン

ハイエンドの製品に多い補助電源コネクタ「6ピン+8ピン」のパターン

さらにハイエンドな製品にある補助電源コネクタ「8ピン+8ピン」のパターン

あまりお目にかかれない超特殊仕様な補助電源コネクタ「6ピン+8ピン+8ピン」のパターン

 昨今の電源ユニットには、大抵の場合、6ピン×2のPCI Express補助電源コネクタが用意されているが、低容量タイプや古いモデルには8ピンタイプが用意されていないこともある。自分の使っている電源ユニットにビデオカード用の8ピンタイプがあるかどうかの確認は必須項目といえる。
 もちろん新しく電源ユニットを購入するのであれば、8ピン(6ピン+2ピン)×2以上が用意されている最新の電源ユニットを選べば、市販されているビデオカードすべてに対応可能だ。

8ピン(6ピン+2ピン)が2つ以上用意されている最新の電源ユニットを選べば、市販されているビデオカードすべてに対応可能だ

今から新しい電源ユニットを購入するのであれば、ケーブルはそれほど問題にはならない。むしろ電源容量や変換効率に気を配りたいが、これはまた別の機会に解説したい

(次ページへ続く)

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