デジタル出力の行方を見定める
それなりのオーディオ機器を使えば、iTunesは上々のクオリティで音楽を聴かせてくれる。ただしそれには条件がいくつかあり、単にエンコード時のコーデックをALACにすればいいというものではない。熱心なオーディオファンには釈迦に説法だろうが、大まかに整理してみよう。
まず、出力経路について。デジタルデータたるALACは、iTunes/(iOSの)iPodおよびCore Audioの機能を使いデコードされたあと、オーディオ出力される。経路は複数あり、アナログ出力は内蔵スピーカーとミニジャック。デジタル出力はS/PDIFポート(Mac Proのみ)とミニジャック(MacBook ProとiMac、Mac miniのみ)、そしてUSBオーディオデバイスだ。
新手のデジタル出力経路に位置付けられるのが、iTunesとiOSデバイス/Apple TVがサポートするAirPlayと、前述したホームシェアリングだ。“AirPlay”はオーディオのみの場合とビデオ(映像+音声)の場合ではプロトコルが異なり、オーディオのみの場合はApple Losslessにトランスコードし暗号化ののち転送される。ソースがApple Losslessならば暗号化が加わるだけで、理論上得失はない。ホームシェアリングでオーディオソースを扱う場合も同様だ。
従来Macで本格オーディオを楽しもうとすると、ケーブルでデジタル出力してほかのオーディオ機器(DAC内蔵アンプ、USBオーディオデバイスなど)で再生するしかなかった。これからはデノンやパナソニック、マランツなどサードパーティーにもライセンスされるようになったAirPlayが、それを補完する存在に成長すると考えられる。
iOSデバイスの存在も侮れない。iPhone 4/iPadに内蔵のオーディオDAC(Cirrus Logic 338S0589)は、それなりの音質で聴かせてくれるのだが、Dock経由でデジタル出力するという手もある。Appleから認証を受けた機器に限られるが、内蔵のオーディオDACをバイパスしてデジタル信号を出力(フルデジタル伝送)できるのだ。そうすれば、iPodやiOSデバイスが“携帯可能なApple Lossless音源”となるわけで、前述のホームシェアリングと組み合わせれば、ワイヤレスでフルデジタル伝送というメリットも享受できる。オーディオの楽しみ方が格段に広がるはずだ。
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