日本通信は4月15日に発売するプリペイド式データ通信SIM「b-mobile Fair」について、都内で説明会を開催した。b-mobile Fairは発表時の記事(関連記事)でも詳細を掲載しているが、購入時は9800円でFOMA網を用いた速度制限のないデータ通信を1GBぶん利用可能。その後も1GBあたり8350円で追加チャージできる。
1人の超ヘビーユーザーを
42人の一般ユーザーが支えている状況
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日本通信 三田聖二氏
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日本通信 福田尚久氏
発表会冒頭で代表取締役社長の三田聖二氏は、現在のモバイルインターネットの状況として「数%のヘビーユーザーが大半の帯域を使っている」と指摘。このままではいつかどこかで破綻が起きると見る。そして「日本通信としてはこういう崩れたバランスを直すための新しいアイデアや道を作っていきたいと考えている」と語った。
続いて登壇した代表取締役専務COOの福田尚久氏は、ちょうど1年前の2010年4月5日にデータ通信用SIM「b-mobileSIM U300」を発売したことを振り返った。SIMロックフリー端末向けにSIMカードが単体で販売されたことにインパクトを呼んだわけだが、同社はその後も音声通話付きの「talkingSIM」、SIMフリーiPhone 4向けの「talking b-microSIM プラチナサービス」などを連続してリリースした。
ただ同社のデータ通信用SIMはiPhone 4用を除いて、上下300kbps超という速度制限があり、ユーザーの要望で一番大きかったのはやはり「通信速度の速いSIM」だったという。
そこでユーザーの期待に応えられるSIMを検討し、大手3社のパケット定額料金を研究した。大手3社で提供されているのは「完全定額制」「2段階定額制」の2種類に分けられ、完全定額制と2段階定額制が交わるパケット通信量は十数MBとなる。この容量で留まるのは実質的にほとんど使わない人たちを指している。結果的にほとんどのユーザーは月5000~6000円程度の料金を払っていることになる。
その状況で起きているのは、三田氏も指摘した超ヘビーユーザーを一般のユーザーが支えている構造だ。説明会内では他の携帯電話事業者から発せられたコメントが紹介されたが、たとえばドコモは「1%のヘビーユーザーが30%のトラフィックを使っている」というもの。これは海外においても同様で、アメリカのAT&Tでは「2%のユーザーが40%のデータを使っている」のだという。
一方でアメリカのAT&Tでは65%のスマートフォンユーザーは月間200MB以下のパケットしか使用していない。「これはヘビーユーザーにとっては“えっ”と思うかもしれないが現実」で、日本通信のユーザーの場合ではもう少しデータの利用量は多くなるが、それでも300MB弱に65%のユーザーが収まるのだという。その状況を福田氏は「1人の超ヘビーユーザーを42人の一般ユーザーが支えている形」と表現した。
しかし「この状況は長続きしないだろうと考えている」とし、今後については「フェアな料金のあり方として応分負担になってくるのではないか」と見る。そして今回リリースされたのが、b-mobile Fairとなるわけだ。
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