Googleの開発担当副社長Andy Rubin氏は6日、Android開発者向けブログで、Androidの方針とHoneycomb(Android 3.0)のコード公開の遅れについて改めて説明した。Rubin氏は「Androidはオープンソースであり、Honeycombのコードは準備が整い次第公開する」と記している。
Rubin氏はGoogleでAndroidの開発を統括する人物である。Androidは従来、最初の搭載端末が出るタイミングでソースコードも公開されてきたが、「Android 3.0」(Honeycomb)については、同OSを搭載したMotorolaの「Xoom」が2月末にアメリカで発売された後もコードが公開されないまま現在に至る。
Android 3.0は急いで開発した“ショートカット”
他端末での動作を可能にしてから、ソースを公開する
Rubin氏はBusiness Weekの取材に対して、Android 3.0のソースコード公開を「当面先延ばしにする」と述べた。その記事によると、Android 3.0はタブレット需要の増加に合わせて急いで開発したため、スマートフォンなど他の端末で動かすのに必要な作業を省略した“ショートカット”なのだという。これらの事情からRubin氏は、コードを公開した場合、(ユーザー自身が)スマートフォンで動かしてしまうことをGoogleには阻止できず、そうなった場合に悪いユーザーエクスペリエンスを作ってしまうため、コードを当面公開しないとしていた。
上記のBusiness Weekの記事が3月24日付けで掲載された後、「Androidはオープンソース」という従来のGoogleの主張と矛盾するのでは? という懐疑的な報道がなされた(関連記事)。今回のRubin氏のブログは、それに対する回答といえる。
Rubin氏は冒頭で、「Androidとエコシステムの支援という点でのGoogleの役割について、報道に誤報がある」と記し、オープンソースとしてのAndroid、分断化対策、Android 3.0のソースコード公開などについてのGoogleの方針を説明した。
Androidについては、コミュニティが成長しても、これまで通り品質と一貫性を最重要視しているとする。
デバイスメーカーはAndroidを自由に修正してカスタマイズし、独自性や差別化となる機能を提供できると強調するが、分断化(異なるバージョンのOSが混在する状況とそれによるAndroid対応アプリの互換性の課題)については、「Android互換として提供したい端末やGoogleアプリケーションを搭載する端末には、基本的な互換性要件を課している」とする。
この“分断化防止プログラム”自体はもともとAndroid 1.0からあるものである。そして、“Open Handset Alliance”(OHA)の初期メンバーはすべてAndroidを分断化しないという点に同意している、と説明している。同時に「UIのカスタマイズに対しロックダウンや制限を加えることはない」「特定のチップセットアーキテクチャ上でプラットフォームを標準化する取り組みもない」と強調している。
Android 3.0については、現在機能のスマートフォン対応を進めているとし、この作業が終わり次第「コードを公開する」と記している。「今回の一時的な遅れは戦略変更を意味するものではない」と引き続きAndroidをオープンソースプラットフォームとして提供すると続けている。だが、コード公開時期やバージョン番号などについては明記していない。