省電力管理ソフトが優秀
話題の「オフピーク」向け機能も搭載
東芝のノートパソコンの特徴は、オリジナルのツール群、特にシステム管理系のアプリケーションが充実している点にある。コストを下げる観点からか、こういう部分にこだわるメーカーは減っている。ライバルで言えばレノボくらいのものだろうか。
特に、関東地方では電力不足が叫ばれる昨今、注目すべきは「省電力ユーティリティ」だろう。「東芝ecoユーティリティ」と名付けられたこのソフトでは、各種設定を変えるとどのくらい消費電力が下がるかを、リアルタイムで表示してくれる。細かく設定をすることも可能だが、多くの場合は「ecoモード」をオンにするだけでいい。
このユーティリティの呼び出しも、キーボード右上部にある「ecoボタン」を押すだけ。ビジュアル的にも設定的にも、かなり簡単で使いやすい。東芝ecoユーティリティからは、電力のピーク時間を設定して、その間はACアダプターにつながっていても自動的にバッテリーで動作するよう切り替える「ピークシフト機能」の設定も呼び出せる。
この機能は同社のビジネス向けノートすべてに搭載されているので、R731でも使える。ピークシフトそのものでカットできる電力はそう多くないが、企業で大量のパソコンを使う場合には、バカにできない量となる。震災後の電力状況を考えると、同様の機能は個人向けノートでも必要とされるものになるだろう。
また、バッテリーの充電能力や各デバイスの発熱などをまとめてチェックする「東芝PCヘルスモニタ」も用意されているので、全体の状況をこれで確認しつつ、設定の変更を個別に行なうといった使い方ができる。
ドライバーの更新情報や各種設定アプリケーションの呼び出しについても工夫がある。「TOSHIBA Bulletin Board」というパソコン内で「掲示板」を作り、家族の情報を共有するためのアプリケーションから一覧できるようになっているため、わかりやすい。
R731は派手さこそないが、非常に完成度の高いモバイルノートだ。「もう一声薄く、もう一声軽く」と思わないでもないが、実売価格で15~17万円程度という価格を考えると、十分に納得できる。しかも安普請ではなく、きちんと数年間使い続けられるだけのものになっている。
操作性も十分に良く、この点も評価できる。モバイルならSSDが欲しくなるが、価格差を考えると、37Bは非常にいいバランスである。派手ではないが買って後悔する部分の少ない製品と言えそうだ。
- お勧めする人
- ・完成度の高い、メイン機兼用のモバイルパソコンを探している人
- ・オフピークで消費電力削減に協力したい人
dynabook R731/37B の主な仕様 | |
---|---|
CPU | Core i5-2520M(2.50GHz) |
メモリー | 4GB |
グラフィックス | CPU内蔵 |
ディスプレー | 13.3型ワイド 1366×768ドット |
ストレージ | HDD 500GB |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
無線通信機能 | IEEE 802.11a/b/g/n、WiMAX |
サイズ | 幅316×奥行き227×高さ18.3~26.6mm |
質量 | 約1.49kg |
バッテリー駆動時間 | 約11時間 |
OS | Windows 7 Home Premium 64/32bit版セレクタブル |
価格(実売価格) | オープンプライス(16万円前後) |
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筆者紹介─西田 宗千佳
1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、PCfan、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「美学vs.実利『チーム久夛良木』対任天堂の総力戦15年史」(講談社)、「クラウド・コンピューティング仕事術」「iPhone仕事術!」(朝日新聞出版)、「iPad vs.キンドル」(エンターブレイン)、「メイドインジャパンとiPad、どこが違う? 世界で勝てるデジタル家電」(朝日新聞出版)、「知らないとヤバイ! クラウドとプラットフォームでいま何が起きているのか?」(共著、徳間書店)。「電子書籍革命の真実 未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)。
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