ユーザーはOSのバージョンアップを望んでいない?
今回の調査では、OSのバージョンアップに対する、ユーザー企業の不信感の声もまとめている。
アプリケーションのライフサイクルに比べて、OSのライフサイクルが短すぎるという課題が指摘されているほか、安定しているシステムや業務的に改善が必要ないものに対して、保守切れによるシステム更新をしなくてならないことに対する不満、メインフレームでは一般的な下位互換という概念は保証すべきだ、といった声もあがっていた。
商品を売りたいことが前面に出ており、事業をサポートしてくれる企業ではないところが非常に不満であるという厳しい声も聞かれたという。
なかには、保守費を払ってもいいので、そのまま使い続けることができないか、20年以上利用できるのであれば、もう少し高価であってもいいという、長期的に利用できることを求める要望も出ていた。
長年言われ続けていることではあるが、クライアントPCおよびサーバーにおいて、OSの頻繁なバージョンアップは、ユーザー企業にとっては大きな負担であり、不満にもつながっている。
それがWindows 7の企業導入の遅れにつながり、Windows XPを積極的に利用する企業が増加するという異例ともいえる現象につながっている。
だが、2014年4月にWindows XPのサポートが切れるため、それに向けた準備を進めるのであれば、今回の調査結果からも明らかにように、2011年度から2012年度には本格的な導入体制へとシフトする必要があるのは事実だ。
保守が切れても使い続ける
ところが、一方でこんな調査結果も明らかになっているのも気になる。
というのは、Windowsサーバーの調査において、保守停止にも関わらず、そのまま利用しているサーバーの比率が20%以上を占めている企業は37%に達し、さらに保守停止状態のサーバーを更新していこうと考えている企業が1割程度にとどまっていることが、今回のJUASの調査で明らかになっているからだ。
同じようなことが、クライアントPCで起こる可能性は捨てきれない。
Windows XPは2001年に発売されたOSである。当時は、セキュリティー環境やインターネット接続環境が、現在の水準ほど求められていなかった。
その時点で開発されたOSを使い続けることは、時代の流れにあわないことは多くの人が認識しているはずだ。
それでもWindows XPからは移行できないというユーザー企業の状況は、まだ続くことになりそうだ。
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