企業では慎重だったWindows 7
一方で、Windows 7の導入も着実に増加傾向にはある。
Windows 7を導入している企業の割合は、2009年度にはわずか4%だったが、2010年度には36%へと急増。Windows Vistaの25%を11ポイント上回ることになった。
ただし、Windows 7の構成比が20%未満とする回答が32%、20~50%未満とする企業が2%など、導入している企業においても、まだ主流として使われているわけではないのがわかる。Windows XPでは、導入構成比が極めて高い企業が多いのに比べると対照的だ。
では、今後のWindows 7の導入についてはどうなのか。
同調査では、その点についても触れられている。
Windows 7の本格的な導入予定時期については、2011年度には40%の企業が、2012年度には27%の企業が導入する予定であることを明らかにしており、この2年間で、Windows 7の導入が一気に進むことが想定される。
また、Windows 7への移行開始時期については、2010年度についてはすでに18%が開始をしているとしているの続き、2011年度には50%の企業が移行を開始すると語っており、「2011年度はWindows 7への移行が本格的に開始される年」となりそうだ。
2014年には、Windows XPのサポート期間が終了するが、2014年度以降に本格導入するとした企業は、わずか8%に留まった。
これまで企業がWindows 7への移行に対して慎重だった背景にはいくつかの理由がある。
なかでも最大の理由が「業務アプリケーションの互換性に問題がある」という点だ。
それを理由として1番目、2番目にあげた企業は72%に達しており、4分の3の企業が、Windows 7に移行した際のソフトウェアの互換性を問題に指摘している。これは圧倒的な比率となっている。
マイクロソフトでは、Windows Vistaで問題となった互換性問題を解決するために、Windows 7のProfessional以上において、Windows XPで稼働するソフトウェアを動作させることができるXPモードを用意しているが、今回の調査によると、情報システム部門では、むしろ新たなプラットフォームへの移行を想定しており、XPモードがあるから互換性が解決するとは考えていないようだ。
Windows 7への導入を検討する際には、XPモードに頼らず、Windows 7へと移行することを前提となるのが多くの企業の共通認識。当然、互換性は大きな問題となる。あわせて周辺機器などとの互換性も課題となるだろう。
Windows 7を導入しないそのほかの理由としては、「エンドユーザーへの導入教育やヘルプデスクなどの負荷が大きい」が30%(理由としてあげた1位、2位の合計)、「現状のOSで当面不都合がない(※編集部注、導入しないとした企業における回答が対象)」が24%、「移行において必要となるテスト範囲が不明である」が22%、「導入費用が高い」が20%、「移行においてユーザーのテスト負荷が大きい」が19%などとなっている。
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