次なる強化点は、大容量の「BDXL」に対応した記録型BDドライブの搭載だ。BDXLはBD-R/REの記録層を3~4層に増やすなどにより、大容量化を実現したBD規格である。3層タイプのBD-R/RE TLディスクなら1枚で約100GB、4層タイプのBD-R QLディスクを使えば最大約128GBもの記録が可能だ。
この大容量ディスクは、特にテレビ番組をたくさん録画してBDに保存したいという場合に役立つ。1枚で従来型BD-R/REの2倍以上の録画ができるのだから、シリーズものの映画やアニメを、まるごと高画質のまま保存できる。ただしBDXLに記録した映像を再生するには、当然ながら再生側もBDXLに対応する必要がある。また、BDXLに対応する記録メディアは今のところ数・種類ともに少なく、市場に出回っているのはBD-R TLの100GBのみ。実売価格も4000~5000円弱と高めだ。
4つめの大きな強化点が、USB 3.0ポートの標準搭載だ。USB 3.0対応HDDと組み合わせると、外付けHDDとは思えないほど高速なアクセスが可能なUSB 3.0は、これから買うパソコンには付いていてほしいもののひとつ。拡張カードが使えず拡張性にはハンデを負う一体型デスクトップだけに、USB 3.0の標準搭載は評価できるポイントだ。
そのほかに従来機種から継承している大きな特徴としては、前述のとおりSpursEngineによるテレビ番組の圧縮録画や映像の高速BD書き込み、動画のアップコンバート(超解像技術)が挙げられる。CPUパワーをほとんど使わずにこれらの処理を実現できるので、例えば録画番組を後から圧縮している最中でも、ウェブブラウジングが遅くなったりはしない。
また最近の一体型デスクトップでは流行の、搭載ディスプレーを単体のモニターとして使う機能も備えている。本体背面にHDMI入力端子とD4映像入力端子を備えており、パソコン部分が起動していなくても、入力端子につないだゲーム機やAV機器を表示できる。
性能は順当に強化
ネット動画の超解像は元動画の画質に依存
それではまずパソコンとしての性能を見てみよう。性能面での強化点は、ほぼCPUと内蔵GPUの強化に集約されている。Windowsエクスペリエンスインデックスの値は、連載64回で取り上げたQosmio DXに対して、全般的に向上している。
最低値は相変わらず「グラフィックス」の値だが、Core i5-450M(2.40GHz)搭載のQosmio DXが「4.5」だったのに対して、一回り高速化されている。メモリーの値が大きく向上しているのは、CPU内蔵メモリーコントローラー(MCH)の配置の違いによるものと思われる(関連記事)。第1世代のCore i5(Arrandale)ではMCHはCPUと別のダイ上にあり、CPUとはQPIバスを通じて接続されていた。第2世代のCore i5では、それがひとつのダイに集約されたことで、帯域幅拡大と遅延短縮を実現した。その影響によるものだろう。
総合ベンチマークプログラム「PCMark Vantage」によるベンチマークテストの結果も示しておく。試作機だったQosmio DXのデータがないので直接比較できないのは残念だが、全般的に性能は高水準だ。ヘビーな3Dゲーム以外では、性能の不足を感じることはほとんどないだろう。
PCMark Vantage 32bitのスコア | |||
---|---|---|---|
PCMark | Memories | TV and Movies | Gaming |
6257 | 4355 | 4462 | 4246 |
Music | Communications | Productivity | HDD |
6790 | 5816 | 4757 | 5328 |
SpursEngineを活用した機能のひとつである、ネット動画の超解像技術によるアップコンバート機能「レゾリューションプラス」も試してみた。YouTubeに掲載されたASCII.jp記事の動画で比較してみたが、下の画像では手摺や車体の細部がやや鮮明に表現されているのがわかる。
サンプルではYouTubeに掲載されている動画の画質があまりよくないので、超解像の効果も限定されている。ここには掲載できないが、SD画質でも圧縮率が低めの映像の場合は、超解像の効果がより明確に現われるようだ。元動画の画質にも依存するというのが正直なところか。
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