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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第90回

電子書籍を紙で売る! 「コトリコ」挑戦への道

2011年04月01日 12時00分更新

文● 古田雄介(@yskfuruta

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仕事は「ストレスレス」が第一優先

―― コトリコさんの人生観を掘り下げさせてください。ブログ、特にライフハック絡み中心の感想ですが、「説教くさくないリアリスト」という印象を受けます。労働者視点で社会の構造を分析しつつ、「だからこうしろ」ってメッセージがない。

コトリコ ええとですね……僕、たぶん同世代とくらべると、年収がものすごく低いんですよ。低いんですけど、「ラクだから仕方ない」と思ってるんです。仕事上のストレスがないから、「世の中のここがおかしい」みたいな気持ちはあんまりないんですよ。

 僕は大学を7年半通って半年休学してギリギリで卒業したんですけど、在学中からしばらくの間、速読の教材を作る会社でバイトしていたんです。で、それだけ長く続けていると、仕事も早く終わるようになるんですよ。すると早くに帰っちゃうようになる。

 でも、仕事は時給制なんですよ。なので、腕がつくに従って年々お金が減っていく。さすがに手取りが3万8000円になった頃、もう無理だと思って辞めましたけど。

「コトリコ」の記事一覧ページ。40以上のカテゴリのなかでも「仕事」カテゴリの日記はブログ初期に多数のはてなブックマークを集めており、古書考察や自作の小説・コンテンツ、日常生活とともにブログのカラーを作る重要な柱となっている


―― 2代目「コトリコ」の初期、駅や電車を清掃する会社に勤めていると書かれていますが、これはその直後?

コトリコ 直後ではないですが、その後ですね。自分なりに決心して一生を捧げるつもりだったんですが、3ヵ月で辞めました。掃除自体は得意で好きなんですけど、納得できるまでキレイにできないのがストレスになったんですよ。

 電車はダイヤ(次の発射時刻)があるので、掃除できる時間も限られているわけです。だから、100%キレイにしたいのに70%くらいで「ハイ次!」って感じ。でも、あるときむちゃくちゃ汚れてたことがあったんで、時間を超えてキレイにしてたらむちゃくちゃ怒られたんですよ。


―― その後はどんなお仕事を?

コトリコ 掃除のあとは、現在まで学校でコンピューター管理の職に就いています。生徒が授業で使うパソコンに「見ちゃダメなサイト」を登録したり、サーバーがおかしくなったら直したり、専門の企業を呼んだりという感じなんですが、週に働いてる時間が実質5時間くらいなんですよね。あとはだいたい遊んでいられるから、ストレスがないんですよ。


―― なるほど。お金は二の次というスタンスがはっきりしていますね。優先順位が明確だから転職もすばやく決断できる。出発点が社会への不満にならないのも納得できます。するとブログで書かれることは普段ふと感じたことでしょうか。「なんでこう思ったんだろう。あ、こうだからか」という思考実験して、納得できたものをまとめるという感じ?

コトリコ いま気づきましたが、そうですね。まあ、生活ができてこそそういう遊びができるんですけど。本当に苦しかったときに一度終了してますし。まあ、今は一応暮らせていけるということですね(笑)。

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