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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第90回

電子書籍を紙で売る! 「コトリコ」挑戦への道

2011年04月01日 12時00分更新

文● 古田雄介(@yskfuruta

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10年前に電子書籍マイブームを迎えた

―― 「コトリコ」を始めたきっかけを教えてください。

コトリコ 2006年頃だと思うんですが、単純に日記を書こうと思って始めたんです。あまり言っちゃいけないような、タブーなことがあるじゃないですか。それを日記で書くことで、日常とのバランスをとりたかったんです。誰かに見てもらうという意識もなく。ただ、最初に作ったものは半年くらいでやめちゃいました。お恥ずかしい話、生活ができなくなりそうでして(笑)。今のものは2代目ですね。

コトリコ氏。「ちゃんとした読書青年ではなくて、適当に読むスタンス」で、大学時代までは1日100ページは本を読むことを日課にしていたという。その下地が作られたうえで、インターネットという道具に出会った


―― 現在公開されているブログをブックマーク数でたどると、スタートして数ヵ月でじわじわと注目を集めていった感じですね。

コトリコ 1日のアクセス数が300を超えた頃、「あれ、誰か見てるな」と思いました。そのうち、ライフハック的な内容を書くと割と反響があると分かってきたんですね。そういうのばかり書いていれば有名になるかなと思ったんですけど、それはやっぱりちょっと恥ずかしいんですよ。

 自分の思ったことを書く日記なのに、ライフハックに寄ちゃうと「こんなの本当の俺じゃない。皆に嘘をついている」と感じてしまうんです。だいたい、僕の人生そのものがハックしてないし!


―― そこは追って詳しく教えてください(笑)。2006年というと、日本でブログが流行り始めた頃ですね。その頃からネットに親しんでいたんですか?

コトリコ いえ。大学の授業でホームページを作ったりはしましたが、そんなには利用していませんでした。僕は1977年生まれで、学生時代は2000年前後なんですけど。

 当時はテキストサイト全盛だったんですが、ひたすら青空文庫ばかり読んでいた記憶があります。その頃はまだ青空文庫のコンテンツも1000件ちょっとしかなかったので、全部読んじゃったりして。ダウンロードしたテキストをPalmに入れて読むのが楽しくて。


―― 「電子書籍元年」(2010年)の10年前に、電子書籍にハマっていたわけですね。

コトリコ 図らずも。無料で読めるから面白かったところがあるんですが、今の電子書籍の仕組みは「なんでわざわざ端末買って契約しないといけないの?」と思います。ソーシャルネットワーク上でコメントしやすいっていうのも、あまり嬉しくない。

 たとえば、むかしの書籍を今から電子化したって年間3人しか読まない場合もあるじゃないですか。そうなるとソーシャルなんて関係ないんですよ。売れてる本にしたって、他の人のチェックや感想には興味がないんです。

 図書館で借りた本にたまに見かける落書きに出会うほうが、僕はよほど嬉しいんです。図書館のルールに違反してまで落書きするなんて、考えてみたらちょっと可笑しい(おかしい)じゃないですか(笑)。そういう稀有な人が書きこんでるから面白いと思うんですよね。

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