西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第66回

Honeycombタブレットの実力は？ auのXOOMをチェック

ファイル転送などが「3.0」から変更に
iPadとは違う距離感のタブレットに？

　新バージョンであるだけに、Honeycombにはいくつかの「互換性面での違い」も存在する。

　例えばパソコンとの連携だ。2.xではUSBでパソコンと接続した際に、基本的にはマスストレージデバイスとして認識される。だがXOOMは少々違う。「Windows Media Player」(WMP)対応のミュージックプレイヤーなどと同様の扱いになるのだ。ストレージデバイスとしてファイルを直接コピーすることもできるが、WMP経由で同期することも可能になっている。

Windowsに接続した場合には、自動的にドライバーがインストールされて、ミュージックプレイヤーのような扱いで接続される

　Mac OS機の場合には、別途Androidのウェブサイト「Android File Transfer」というソフトをダウンロードして利用することになる。

　これをインストールすると、USBでXOOMをMacに接続すると自動的にこのアプリが起動して、ファイルを転送するためのウインドウが表示されるようになっている。使い方は通常のファイルコピーと同じ。これらはGoogleのサイト上で「3.0以降での対応」と記載されているため、スマートフォンでも3.x系が基本になっていくと、標準的な利用方法になっていくものと思われる。

Macにつないだ場合には、「Android File Transfer」というアプリが別途必要になる。ダウンロードは無料

　Androidアプリの互換性にも、若干の注意が必要だ。複数解像度のディスプレーに対応したAndroidアプリなら問題なく動作するが、古いアプリの中には画面の中央に小さく表示されるだけというものもある。iPadの場合には「2x」ボタンを押すことで、全画面に表示を広げてなんとか利用することができたが、Honeycombにはそうした機能がない。最新のSDKに基づくアプリが増えていけば問題は解決されるだろうが、しばらくは注意しておく必要がある。

　iPadに比べて劣る点として指摘しておきたいのは、Bluetoothキーボードへの対応だ。XOOMもBluetoothキーボードに対応しているのできちんと文字入力に利用できたが、各種ショートカットや文字種変換など、キーボードではまだうまくできない部分が多い。

　iPadだって当初はひどいものだったし、現在も万全とは言い難い。だが少しずつ改善されて、今ではかなり使いやすくなってきている。Honeycomb、いやAndroid全体が、まだまだキーボードオペレーションに弱い印象が強い。ただし、Androidは日本語変換ソフト(IME)を入れ替えられるため、「物理キーの利用を想定したIME」の登場により、この問題も急速に改善に向かう可能性が高い。

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　さて、そろそろまとめよう。iPadが登場した時にも「ノートパソコンの代わりに仕事に使えるか？」といった議論が巻き起こった。結論から言えば、それはあまり意味がなかった。仕事に使うのならパソコンの方が便利であることに違いはなく、「パソコンでは使いづらいシーンに向く」というのがiPadの良さだった。

　XOOMもそれと同じだ。「生活の中でネットをちらちらと見て、時にはがっつり文字も書く」という使い方をするなら、XOOMは非常に便利だ。7インチサイズでは意外とソフトキーボードが打ちづらいのだが、10インチクラスはそうではない。

　ウィジェットを活用し、「iPadよりも頻繁にネットを見る生活」に向いたタブレット端末がHoneycomb採用機であり、XOOMである、と言えそうだ。

お勧めする人

・日常的にネットを「チラ見」する端末が欲しい人

・Honeycombに興味がある人

■関連サイト

• XOOM 製品情報
• au by KDDI

筆者紹介─西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、PCfan、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「美学vs.実利『チーム久夛良木』対任天堂の総力戦15年史」(講談社)、「クラウド・コンピューティング仕事術」「iPhone仕事術！」(朝日新聞出版)、「iPad vs.キンドル」(エンターブレイン)、「メイドインジャパンとiPad、どこが違う？　世界で勝てるデジタル家電」(朝日新聞出版)、「知らないとヤバイ！ クラウドとプラットフォームでいま何が起きているのか？」(共著、徳間書店)。「電子書籍革命の真実 未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)。