第2世代Coreシリーズ採用で、特に13インチモデルが大幅強化
新MacBook Proもうひとつの目玉が、第2世代Coreプロセッサーファミリーの採用だ。2010年4月に発売の前モデル(Mid 2010)では、15インチ以上の機種にのみCore i5/i7が搭載されていたが、今回から13インチモデルもCore i5/i7に昇格している。
その意味において、今回のモデルチェンジでもっとも変化幅が大きいのは13インチといえる。物理コア数は2と変わらないが、システムに認識されるコア数(論理コア数)は「Hyper-Threading」のサポートにより4に倍増した。Snow LeopardではマルチスレッドAPI「Grand Central Dispatch」(GCD、関連記事)が導入されるなど、Mac OS Xは並行プログラミング環境が充実しているだけに、論理コア数はパフォーマンスに直結することが多く、メリットが大きい。
ところで、第2世代Coreシリーズ最大の特徴は、CPUコアとグラフィックスコア、そして従来のMCH(Memory Controller Hub)にあたる「System Agent」が同一のダイに統合されていることにある。グラフィックスコアの「Intel HD Graphics 3000」は、それ自体は前モデルのNVIDIA GeForce 320Mと比較すると微妙だが、CPUとGPUでキャッシュメモリー(Last Level Cache)を共有できるようになり、同等の描画パフォーマンスを実現する。
なお、15/17インチには、ディスクリートGPUとしてAMD Radeon HD 6490M(1GB RAM)、またはAMD Radeon HD 6750M(1GB RAM)が用意される。グラフィック性能重視の場合には、これらの機種を選ぶほうがいいだろう。
もうひとつ、第2世代Coreシリーズには「Quick Sync Video」が用意されている(関連リンク)。H.264やMPEG-2といったビデオコーデックをハードウェアでエンコード/デコードするこの機構は、Macにおける動画生成のパフォーマンスを大幅に向上させると推定される。
ただし、Quick Sync Videoの恩恵にあずかるには、ソフトウェアレベルでの対応が必要だ。QuickTime/QT Kitでのサポートが確認されていない現在、動画生成速度の向上など直接的なメリットは期待できないが、今夏にリリース予定のLionではサポートされる可能性もある。
カーネルの起動モードが標準で64bitに
今度のMacBook Proは、確かに外観の変化には乏しいかもしれない。しかし細部に目をやれば、多くの点で”熟成”を確認できる。もちろん、それは第2世代CoreシリーズやThunderboltの採用といったコア部分での改良/強化だ。
カーネルの起動モードがデフォルトで64bitになったことは、そのひとつ。これまでデフォルトで64bitモードが適用されるのは、XserveとMac Pro(Mid 2010)のみだったが、新MacBook Proもその列に加わった。いわば”様子見”のためカーネルは32bitモードで起動されてきたが、今回64bitモードが適用されたということは、デバイスドライバーなどハードウェア寄りプログラムの検証が進んだ結果と考えられる。
なお、64bitモード環境において、アプリケーションやハードウェア(のデバイスドライバー)が正常に動作しないという場合は、32bitモードで動作させてみると良い。方法は、まずはいったんMacBook Proを終了して電源をオフにする。次に、電源を入れた後に「3」と「2」キーを押しながら起動すると、32bitモードになる(従来モデルを64bitモードで起動する場合は、「6」と「4」キーを押す)。元の64bitモードに戻すには、マシンを再起動するだけでOKだ。
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