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評論家が語る最新3Dテレビの魅力(前編)

3Dクアトロンが身近になる! AQUOS Z5で楽しむ映画・アニメ

2011年03月25日 11時00分更新

文● 広田稔 撮影●篠原孝志(パシャ)

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低クロストークで、3Dがクッキリ見える!

── 3D立体視の画質も進化していますか?

折原 もちろんです。3Dを高画質化するポイントは、大きく2つあります。1つは、いかに明るく表示できるかということ。もう1つは「クロストーク」という映像ボケをいかに抑えるかという点です。

 おおまかに言ってしまえば、プラズマテレビは暗いけどクロストークが少ない、液晶は明るいけどクロストークは多いという言われ方をしてきたんです。しかし昨年、双方とも技術的進歩があって、弱点をつぶしてきた。

 特に進化を大きく感じたのは液晶です。液晶は元々明るいと言われていましたが、LEDバックライトの採用によって明るさが引き上られたのはもちろん、バックライトの素早いON/OFFによってクロストークを感じにくくしている。

 さらにZ5シリーズをはじめとしたAQUOSの上位機種は四原色技術の「クアトロン」を採用しているので明るさをさらに高められるし、映像も色鮮やかです。ちなみにZ5シリーズのリモコンには「明るさアップ」ボタンが付いていて、もっと明るくできるという機能も付いてますよ。

応答速度が速いからクロストークが目立ちにくい。なお、Z5シリーズの3D専用メガネ「AN-3DG10」は別売となる。実売価格は1万円前後で、シルバー/ブルー/レッドの3色が用意されている

クロストーク軽減はアニメでも効果的!


── クロストークはどんなシーンで発生しやすいのでしょうか?

折原 一番分かりやすいのが、明るい背景の中で、若干暗めのものが動いているシーンです。

 最近の3Dテレビの主流は右目用と左目用の映像を交互に表示し、それに合わせて専用メガネの左右のシャッターを開閉することで立体視を得られるようにしている方式です。

 そして液晶テレビは、映像の1コマを映す際、画面上部から下部に向かって順に描画していく仕組みですから、描画スピードが遅いと、右目用と左目用の映像を切り替える際に、前のコマが残像として残ってしまう。これをクロストークと言います。


── 液晶テレビはクロストークをどうやって軽減しているのでしょう?

折原 主にハードウェアの進化で解消してきました。たとえば、バックライトスキャンという形で、映像のひとコマを切り替えるごとに、バックライトを消すことで書き換えの瞬間を隠しています。コマとコマの間に、一度黒を挟むような感じです。


── AQUOS Z5はどんな技術でクロストークを軽減しているのでしょう?

折原 応答速度の速さをウリにしている「ハイスピードUV2A」という液晶パネル技術に注目です。先ほども触れたように、クロストークというのは映像のコマとコマが切り替わるスピードが重要。そこでポイントになるのが応答速度。AQUOS Z5の3ミリ秒という速度は相当に優秀な数字です。

 あまり知られていないのですが、応答速度の時間を算出する基準は、映像が100%切り替わったタイミングではなく、10~90%の変化が完了した時点で応答速度を算出しています。ハイスピードUV2Aが優秀なのは、スペックの計算値から外れる時間、つまり0~10%、90~100%の部分も含めて書き換える速度が速いこと。

── なるほど、それでクロストークが軽減される。

折原 それだけじゃありません。先ほども少し話したように、液晶は1コマを画面上部から下部に向けて描画しているので、結果的に映像が縦に動いたときにガクガクになりがちなんです。でもハイスピードUV2Aの応答速度なら、きれいにスクロールされる。

3Dの大敵・クロストークを減少させる「UV2A技術」とは?

 下の動画は、クロストークを大幅に減少させる「UV2A技術」の解説図。従来比2倍の高速応答を達成することで、残像の発生を軽減させている。

AQUOS Z5はクロストークが減少!

── それではAQUOS Z5で実際に、映像作品を鑑賞してみましょう。編集部で用意したのは、高画質ソースとして評価が高い「クリスマスキャロル」です。ディズニーの3DCGアニメですね。冒頭部分、奥行きある街の風景と、そこに降る雪の立体的な浮遊感などは3D作品の魅力を存分に示してくれるという点で高評価ですが……。

「Disney's クリスマス・キャロル 3Dセット」

折原 すごいなぁ……。このソースはテレビの画質評価などで、何度も観ていますが、最初のシーンを見ただけでも、クロストークが目立たなくなっていることがわかります。クロストークは、明るかったり、白い部分で発生しやすいのですが、Z5では出ていませんね。非常にクオリティの高い3Dだと思います。


── 違和感が感じられませんね。中級機でもここまで3Dを楽しめるようになったら、高級機の存在も脅かされるかも。

折原 大変ですよね(笑)。そしてクリスマスキャロルの演出も良い。映画の最初にわざと3Dらしい構図を見せて効果を強調している。3Dの表現としても面白いです。


後編に続く



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