コントラストが高い液晶モデルと
黒の締まりが抜群なプラズマモデル
今回、プラズマ、液晶モデルそれぞれを従来機の「XP05」シリーズと並べ、「センサーオート」でその画質の違いを比較視聴した。なお、今回チェックした機種は発売前の評価機であり、実際の商品とは異なる可能性があることをお断りしておく。
まず印象的だったのは、液晶モデルのコントラスト感の高さだ。照明を落とした環境でも黒の締まりが断然良くなり、暗い夜空に浮かぶ星の数がまるで違っている。暗い森の木々もそのシルエットだけでなく、幹や葉といったディテールまでかなり再現できるなど、エリア駆動による高コントラスト化の実力がよく分かった。
もうひとつ印象的だったのは、プラズマと液晶の画質の違い。パネル方式こそ異なるものの、どちらも明るく精細な映像で、質感の豊かさをじっくりと描く傾向なのだが、明るい部屋でのコントラスト感は液晶の方が有利で、メリハリの効いたくっきり画質となる。
逆に照明を落とすと、明るい環境ではややコントラスト感が不足気味だったプラズマの黒の締まり、暗部の階調が良くなり、しっとりと落ち着いた映像になった。液晶の方は従来に比べるとかなりがんばってはいるものの、暗部の黒浮きが少々感じられ、個人的には明るさを落として黒の締まりを高めたくなってしまう。
これは、それぞれのパネルの特性による違いだが、それぞれの得意分野を如実に表したものと言える。明るい部屋が主体の視聴ならば液晶、照明を落としてじっくりと高品質なコンテンツを楽しむならばプラズマだと感じた。
最後に、インテリジェント・オート高画質3の美点をもうひとつ。自動画質調整というだけに、多くのメーカーでは画質調整などが行なえないことが多い。しかし、メーカー推奨の画質とはいえ、個人の好みと完全に合致するわけではない。特に筆者は画質をいじりたくなる性分なので、自動画質調整が使いにくいと感じることも多い。
その点、インテリジェント・オート高画質3は画質調整を細かく追い込むことが可能。ほかの画質モードのように念入りに追い込むのではなく、暗い環境のときはもう少し明るさを抑えたいなどの、ほんのちょっとの味付けをいじるだけで、随分印象は変わるだろう。少々マニアックではあるが、趣味的な楽しみと日常的な使い勝手をうまく両立していると思う。
このほか、音質面もさらに熟成が進んでいる。内蔵スピーカーは4.5cm×12cmのフルレンジユニットを左右それぞれ1個内蔵し、そこに音響パワーイコライジング技術「CONEQ」で音響特性を補正している点は同じ。
しかし、CONEQの使いこなしがより進んでおり、音質的には中域の密度感やボーカルの実体感のある再現、低域のキレ味の良い弾力感など、品位が大きく高まっている。
従来は、初めての「CONEQ」採用ということで、フラットな周波数特性としたニュートラルな味付けだったが、今回は低域から高域まで、広い音域で音質を最適化しているという。
もちろん、映画の重低音や大音量での再生では力不足も感じるが、内蔵スピーカーとしてはかなりバランスの良い音質となっており、デモでの音楽ソフトの再生でも楽器の音色のリアルな再現や、ボーカルの表現力の高さなどに感心した。
実用に即した機能を着実に熟成した高機能モデル
日立は今年のテレビ市場を、前半をアナログ放送終了に向けたテレビの買い換え、後半はじっくり検討してテレビを選ぶ傾向にあると分析。その結果、すでに発売済みのHP07/H07シリーズに加え、録画テレビの上位機種であるXP07シリーズを今回投入した。
これで、スタンダードモデルから上位モデルまで、地デジ化を目標にテレビを選ぶユーザーのニーズに対応しようというわけだ。ちなみに、日立だけがまだ発売していない3Dテレビや、昨年登場したS-LED搭載の「ZPシリーズ」の後継機種の投入は、今年の後半以降になると思われる。
新しいXP07シリーズは、録画機能の大幅な強化を中心に、画質・音質を含めた熟成がさらに進み、かなりの完成度に到達したと実感した。3D映像非対応など、質実剛健なモデルとも言えるが、その分、地デジ化を見据えたテレビの買い換えをはじめ、機能性を含め長く愛用できるテレビではないかと思う。