MeeGo端末もリリース予定
当面はSymbianにも力を入れる
――これまでスマートフォンのメインとしてきたMeeGoの位置づけは?
今年MeeGo製品を投入します。エキサイティングな製品になると思っています。その後は、将来の技術(“Next Big Thing”)という視点で見ていくことになります。
――SymbianとMeeGo向けの開発技術だった「Qt」はどうなりますか?
QtはWindows Phoneでは利用されませんが、ビジネス面では引き続きさまざまなプラットフォームに対応するアプリUIを開発できるツールとして存続します。
――Microsoftとの提携発表時、コミュニティの反応は概して悪く、“失望した”という声がTwitterやFacebookで飛び交いました。開発者の信頼をどうやって獲得していくのでしょう?
われわれがすべきことは、開発者にチャンスがあることを説明することだと思っています。コミュニケーションを通じて、戦略を実現しながらの作業になります。
Ovi Storeは今後も継続し、開発者が収益を得られるように支援していきます。Windows Phone、Symbianを通じて、開発者をクロスプロモーションできると思います。
――Windows Phoneは他のメーカーも採用していますが、提携により、Nokiaのハードウェア専門知識を他のWindows Phoneメーカーが利用できることになるのでしょうか?
MicrosoftとNokiaの提携は、MicrosoftとNokiaという2社の話ではなく、エコシステムを作るという発表です。エコシステムとは、複数の会社が共通の環境に投資し、企業同士が他社の投資を活用し合えるオープンなものです。
まず重要なことは、エコシステム全体を成長させ、iPhoneやAndroidなどの環境と対抗していくことです。Windows Phoneメーカー間の競争はその次となります。この中でどうやって競争力のある製品を開発できるか、ここには自信を持っています。
エコシステムの成長で大事なことは、開発者からみて分断化していないことです。それはつまり、Windows Phoneエコシステムがホモジニアス(単一)の環境を維持していくことです。なので、意味のないところで差別化をすべきではないでしょう。分断化は簡単ですが、すべきではありません。共通土台の上で差別化できる余地は十分にあります。
――初のWindows Phoneが出る時期を公言していませんが、それまでの間の戦略は?
Symbian製品は今後も継続します。突然Windows Phoneに切り替えるのではなく、これからは移行期間となります。2010年第4四半期のSymbianの出荷台数は500万台を超えており、いまだに大きな事業です。Symbianはハイエンド端末や北米地区では競争力がないかもしれませんが、ミッドレンジやローエンド、北米以外の地域など、市場はまだまだあります。今後も、SymbianのUIや使い勝手の改良を続けます。
NokiaのテクノロジーをWindows Phoneに投入し
エコシステムを構築していく
――Windows Phoneではどのように差別化を図っていく計画ですか?
具体的な計画は明かせませんが、さまざまなことができると思っています。
Nokiaのラボでは、ハードウェア、ソフトウェア、サービスで研究開発を進めています。ハードウェア側では、ナノテクノロジーなどの革新的技術があり、これを利用して、柔軟性のあるディスプレー、柔軟性のあるメカニクスが可能です。バッテリ技術も進化するでしょう。将来的にエキサイティングな分野です。
ソフトウェア側では、たくさんの新しい技術が出てくると予想します。まずはHTML5が活発化し、エコシステムを変えるでしょう。5年ぐらいのスパンでみると、現在は想像できないような新しい技術が登場し、エコシステムに影響を及ぼすことは十分に考えられます。
サービス側では、これまでの戦略を強化します。たとえば位置情報ベースのサービスでは、Ovi MapsとNAVTEQの資産を活用できるビジネスチャンスがたくさんあります。端末を通して、リアルな世界を見るAR(拡張現実)もあります。ARは現実をインターネットのレイヤを重ねて見せるという1つの例にすぎず、まだまだ未開拓の分野です。このように、イノベーションの余地は無限にある。Nokiaにとって大きなチャンスがあり、ここでリーダーをとっていきたい。
Microsoftとの提携によりフォーカス分野に注力できるようになると期待しています。
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