これで困るのが、実はオーバークロックである。これまではCPUに供給するベースクロック(Intel 5シリーズでは「PLL1」から供給される133MHz)と、SATAその他のクロックが分離していた。だからPLL1だけを定格以上に上げてCPUの動作周波数を引き上げても、チップセット側は正常なクロックが供給されるから問題はなかった。
ところが特にP67の場合、CPUをオーバークロックするには25MHzのクロック信号を引き上げるしかなく、そうするとCPU側のみならず、チップセット内部への供給クロックも一緒に上がってしまう。当然ながらチップセット側はこうしたオーバークロック動作を想定していないし、回路の中にはマージンがほとんどないものもある。結果として10%のオーバークロックも難しく、できて5%程度ということになる。
インテルの言い分としては、こうしたオーバークロック動作のためにターボ・ブーストの上限を外した「Core i7-2600K」や「Core i5-2500K」をリリースしているので、「ベースクロックはいじらずにこの倍率を変えろ」という話である。だがそれでも、細かく分離できたほうがいいというニーズは根強いものがあったようだ。
そのためZ68ではIntel 5シリーズのように、CK505もしくは後継品を使って独立したクロックを供給できる仕組みが復活する、と言われている。ただこのCK505(あるいはCK506かは不明)を使わずに、H67同様に25MHzのクロック信号だけで使うことも可能らしい。
2012年1月には
USB 3.0をサポートするPanther Point登場?
Z68に続いて登場するのが、「Patsburg」ベースの「Intel X68+ICH11」である。連載88回で紹介したとおり、2011年9月頃を目処にCore i7 Extremeの製品ラインとして「Sandy Bridge-EP」をベースとした製品が投入される予定だが、こちらはパッケージが「LGA2011」になるなどの変更がある。これに合わせてX68チップセットが同時期に投入されるようだ。
これと組み合わせるICHは「ICH11」となる。基本的にはP67と同等のスペックで、PCIeはGen2のまま8レーン。SATAはSATA 6Gbpsが2ポートで、SATA 3Gbpsが4ポートの合計6ポート、USB 3.0は未統合でUSB 2.0が14ポートといったあたりになる。チップセット自身は物理的にPCIバスを持つが、これをサポートするかどうかは微妙なところらしい。
2012年に入ると、CPUは「Ivy Bridge」に切り替わるが、このタイミングでチップセットも「Intel 7」シリーズが投入される予定だ。「Panther Point」という開発コード名のこの製品、今度こそUSB 3.0が統合されるそうだ。ただしポート数は14で、このうちUSB 3.0に対応したポートは4ポートのみ、残りはUSB 2.0のままだそうである。
またこの世代から、「SATA 6Gbpsが4ポートになる」という話と「全ポートSATA 6Gbpsになる」という2種類の話を聞いたのだが、真偽のほどは不明である。当初は「Intel P77」(FDIなしで独立GPUのみ対応)と「Intel H77」(FDIに対応)の2製品。これに続いてIntel AT/AMTをサポートしたビジネス向けモデルや、廉価版が当然出てくるだろうと想像されるが、今のところこのあたりは不明である。
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