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鳥居一豊の「最新AVプロダクツ一刀両断」 第28回

「ブルーレイDIGA」がライバルを突き放す怪物に進化!?

その価値はBDレコ2台超! パナの「DMR-BZT900」

2011年03月09日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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15倍の長時間モードの画質は!?

元の映像(DR)は筆者が撮影した森の中での小川。小川の流れで発生しやすいMPEGノイズと、岸辺の岩の苔の質感や、手前の草花のディテール感を見比べたい

元の映像(DR)は筆者が撮影した森の中での小川。小川の流れで発生しやすいMPEGノイズと、岸辺の岩の苔の質感や、手前の草花のディテール感を見比べたい

「HGモード」は12.9Mbpsのビットレートで2倍相当の画質だ。正直に言うと画質の劣化どころか違いすら指摘できない。筆者としても十分にBD保存用の録画モードとして使える

「HG」モードは12.9Mbpsのビットレートで2倍相当の画質だ。正直に言うと画質の劣化どころか違いすら指摘できない。筆者としても十分にBD保存用の録画モードとして使える

「HX」モードは8.6Mbpsで3倍相当の画質。厳しくみると文字のテロップのエッジや細かいディテール部分にノイズが出ているが、画質の劣化感はほとんどない

「HX」モードは8.6Mbpsで3倍相当の画質。厳しくみると手前の葉っぱや細かいディテール部分にノイズが出ているが、画質の劣化感はほとんどない

「HEモード」は5.72Mbpsで4倍相当の画質。髪の毛の質感がわずかに不鮮明になり、りんかくも少々甘くなっていることがわかる。しかし、MPEGノイズなどはほとんど気にならない

「HE」モードは5.72Mbpsで4倍相当の画質。岩肌の細部の質感がわずかに不鮮明になり、輪郭も少々甘くなっている。しかし、MPEGノイズなどはほとんど気にならない

「HLモード」は4.27Mbpsで6倍相当。動きのある部分で解像感が劣化しがちになるが、ディテールの鮮明さなどはまだまだがんばっている。文字テロップなどでモスキートノイズが目立ち始める

「HL」モードは4.27Mbpsで6倍相当。動きのある部分で解像感が劣化しがちだが、ディテールの鮮明さはまだまだがんばっている。細かいディテールなどでモスキートノイズが目立ち始める

「HMモード」は2.96Mbpsで8倍相当。テロップ文字の輪郭の乱れや、動きによる解像感の劣化などが目立つようになり、暗部のノイズ感も増えた印象。MPEGノイズも少々目立つ

「HM」モードは2.96Mbpsで8倍相当。草花の輪郭の乱れや、動きによる解像感の劣化などが目立つようになり、暗部のノイズ感も増えた印象。MPEGノイズも少々目立つ

「HZモード」は1.6Mbpsで15倍相当。さすがに細かいディテールや動きによる解像感の劣化が目立ち、MPEGノイズも気になる。しかしながら、思ったよりも見づらくない

「HZ」モードは1.6Mbpsで15倍相当。さすがに細かいディテールや動きによる解像感の劣化が目立ち、MPEGノイズも気になる。しかしながら、思ったよりも見づらくない

 最後に画質を見ていこう。正直なところ、10倍以上の長時間モードは「あれば便利だけど、あまり使うことはないだろう」という印象でもあったので、15倍以上の画質だけをレポートするよりも、実用されることの多い各モードの画質差をじっくりと見比べる方が重要と考え、今回はすべてのモードで画質差を確認してみた。

 比較的相性のいいドラマやニュース、相性の悪い(動きの激しい)スポーツといった放送による違いはあるものの、トータルの印象ではハイビジョンらしい精細さをきちんと維持したまま、不自然さの原因となるMPEGノイズなどをしっかりと抑えていることに感心した。

 BDに保存して残すということを前提にしても、多少の落差を考えれば6倍相当の「HL」(4.27Mbps)モードでも十分と感じた。ちなみに25GBのBDメディアへの録画時間は約12時間で、CMカットをすればテレビドラマ1クール分がなんとか収まる。

 画質にこだわる人であっても、4倍相当の「HE」(5.72Mbps)モードでほとんど不満はないだろう。画質差をほとんど見分けられなかった2倍相当の「HG」(12.9Mbps)モードを含め、2~6倍程度の実用的な録画モードの画質が向上しているのは一番の進化だと思う。

 ちなみに、15倍相当の「HZ」(1.6Mbps)モード自体も解像感の劣化やノイズ発生は避けられないが、従来の12倍モードと比べて大幅に劣化した印象はないし、他社の(圧縮率が)10倍以上のモードとの落差も少ない。BD保存では少々不満はあるが、ニュースやバラエティ番組など一度見れば十分、という番組ならば特に問題なく使えるだろう。

「ディテール・クラリティ・プロセッサ for BD」の画質比較。左が効果「0」で右が「効果3」。際立った差は少ないが、細部のディテールや輪郭のなめらかさに違いがある

 このほか、ディテール・クラリティ・プロセッサ for BDなどによる画質差も確認してみた。同機能は映像を4つの周波数帯に分けて分析し、それぞれに最適な処理を行なうことでディテールを向上するもの。その差はとてもわずかだが、森の木々のような細かいディテールが詰まった映像を見ると、ディテールの細やかさに少々違いが出ている。効果を最大にしてもノイズが目立つなどの副作用も少ないのは美点だ。

アニメモードでは、制作時の解像度を指定することで処理を最適化することが可能。アナログ制作作品向けの「480i/p」とハイビジョン制作作品向けの「720i/p」が選べる

 「アニメモード」では、作品の原画解像度を指定することで、輪郭やエッジの処理を最適化できる。480i/pと720i/pを選択するわけだが、制作年代や制作時の解像度を正確に判断するのは難しいので、単純に4:3の画角のものは480i/p、16:9のもの(レターボックスなどアップコンバートのものは除く)は720i/pと、おおざっぱに分けるだけでも十分だろう。

 720i/pで制作されていると思われる現在放送中のテレビアニメで試してみると、720i/pを選んだほうが輪郭付近のノイズが減り、すっきりと見やすくなった。作品ごとに細かく切り替えるのは面倒だが、お気に入りのアニメなどだけでも試してみるといいだろう。

DVD作品で超解像アップコンバートを比較。左が効果「0」で右が効果「2」。解像感は高まるが、右はノイズ感も強調されがちになる

 DVDの超解像アップコンバートは、おそらくはBDプレーヤーを含め、本機が最も意欲的な解像度感の向上が確認できた。ただし、最大の効果「2」では、細かいディテールがザラザラとしたノイズ感を感じることも多く、精細ではあるが見づらい印象になることも多かった。

 元がDVDだけに解像感をあまり欲張らず、ノイズの少なさなど、トータルのバランスを整えてもよかったと思う。好ましかったのは効果「1」。解像感も十分でノイズが目立ってしまうことも少ない。なお、地デジやHZモードなど、解像感の劣化が目立ちやすい長時間モードでも効果があり、こちらはあまりノイズ感が増えすぎるということもなかった。

すでにBDレコをお持ちでも
買い替えを検討していい1台

 高級機であるDMR-BZT900は別としても、新しいBZTシリーズは、トリプルチューナーの搭載だけでも「買い」と確信している人は多いだろう。

 実際のところ、BDレコ2台分の録画性能は魅力的だ。BZT900となると、それ以上を求める人のための高画質・高音質機となるが、こちらもさらなる熟成を遂げており、気になる人は多いだろう。

 筆者のようにBW970シリーズ付近の世代のモデルを愛用している人も多いと思うが、それらからの買い換えとしても、ちょうどいいモデルと言えそうだ。


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