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こだわり機器を聞く、最上の試聴室めぐり 第6回

歴史の重みを感じた、2時間超の試聴取材

LUXMAN試聴室で、ハイレゾと真空管、両極端のサウンドを体験 (6/6)

2011年03月11日 09時00分更新

文● ASCII.jp編集部

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SACDプレーヤーとの比較を聞く

 さてDA-200の実力はどうだろうか。取材では多くの音源を使いながら、圧縮音源とロスレス音源の違い、ハイレゾ音源の効果、SACDプレーヤーとの比較、そしてパッケージソフトとしては、現在音質面で最高峰とも言えるSHM-SACDソフトの鑑賞など、さまざまな試聴を行った。そのすべてについては書かないが、面白かったものを何点か紹介しよう。

さまざまな機器を操作すると言うこともあって、高級感あふれるリモコンがズラリ

 ひとつはCD版のほかに、e-onkyo musicで24bit/96kHzのFLAC版も売られているSAYAKAの「Palma Habanera」。DA-200でのハイレゾ音源再生は、上位クラスSACDプレーヤーD-06のCD再生を上回ることができるのかという比較だ。

 立ち合った人間の間でも評価は分かれたが、筆者としては自然に拡がる低域と、ひとつひとつの音が濁りなく、見通し良く広がる点を買って、DA-200に軍配。その潜在能力の高さに驚嘆する結果だった。もっともそのあとで聴いたヒラリー・ハーンの「バッハ: ヴァイオリン協奏曲集」(SHM-SACD盤)など、SACDプレーヤーでしか再生できないディスクも存在する。

 話が若干それるが、実は日本の音楽ソフトは2000年代初頭にDVD Audioが登場した際、一部で24bit/192kHz化が実施された。ワーナーなどを中心に、ステレオ初期のマスターテープのリマスタリングも積極的に実施されたという。

 アナログLPの時代には機器の制約もあり、録音時にエンジニアの裁量で特定の周波数帯域を強調して録音し、マスタリング時に補正するといった手順を取るケースも多かった。このため単純なマスターテープのデジタル化では、制作者が意図していた音を再現することはできない。中には手間と時間をかけ、エンジニアの頭の中にあるこうした設定を忠実に再現したマスタリングなども存在したという。

 DVD Audioの規格は事実上終わってしまっているので、こういった音源がお蔵入りしてしまっているケースもあるのだろうが、ネットの高音質配信が浸透することによって、それにまた光があたる日も来るかもしれない。

 以上、アナログとデジタルの両端を聴くことができた今回の取材だが、その内容はフォーマットを横断しながら新旧さまざまな録音を聴いていく結果となった。オリジナルのLP盤を聴く楽しみがある一方で、昔は聞こえなかったソースの情報を克明に描き出すハイレゾ形式でのリマスタリングがある。

 その根底にあるのは、音楽の感動や興奮を伝えること。そして、システムの形や狙いは変わっても、必ずそこにはリスナーの心を動かすエッセンスが注入されていることがオーディオ機器には求められる。そんなラックスマンの製品群に触れる中で、その懐の広さと、ラックストーンが支持される理由の一端を再認識できた取材であった。

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