このように、しばらくはほかの用途向け製品を組み込み向け製品として供給していたインテルだが、2010年9月に待望の(汎用)組み込み専用プロセッサーである、「Tunnel Creek」こと「Atom E600」シリーズを投入した。ただしこのE600シリーズは、先のPineview系と異なりIntel 64には未対応となっている。
構造的にはGMCHを統合したプロセッサーであるが、外部インターフェースがDMIではなくPCI Expressとなっていて、インテル以外のベンダーが開発したサウスブリッジ(I/Oコンパニオン)を簡単に接続できるようになっている点が、通常のAtomと異なっている。
また2010年11月には、Tunnel Creekに米アルテラのFPGAを組み合わせたMCMである「Stellarton」もリリースされている。さすがにFPGAを搭載しているだけあって、パッケージのピン数は1400ピンを超える巨大なものとなっている。これにより、従来は「インテルCPU+FPGA」という形で製造していた構成をワンチップ化できる、としている。
ちなみにこの汎用品に関しては、今のところ32nmの具体的な話が出てきていない。PC向け製品ではすでに32nmプロセスが主流になり、2011年末から2012年には22nmプロセスに移行するといった状況であるから、2012年あたりには32nmプロセスの製造ラインがやや空くはずだ。これに併せて汎用品も32nmへの移行を当然考慮するだろう、と想像される。
最後に説明するのは、汎用「ではない」組み込み向けAtomである。IAベースのSoCという意味では、最初の製品は「Tolapai」こと「Intel EP80579 Integrated Processor」と「Canmore」こと「Intel Media Processor CE3100」であるが※1、これはどちらも「Dothan」(Pentium M)ベースのSoCである。
※1 非x86も含めれば、XScaleベースの「CE 2100」というSoCがそれ以前に存在した。
EP80579の後継製品の話がない一方で、CE3100の後継製品は2009年12月に、Atomを搭載した「Sodaville」こと「Atom CE4100」シリーズとしてリリースされた。同シリーズには「Atom CE4150/CE4130/CE4100」の3製品があるが、コアそのものはいずれも1.2GHz駆動で、違いはテレビ向けGPUの動作周波数と機能のみとなっている。
CE4100は登場時にプレスリリースが出ただけマシだ。これの改良版と見られる「Groveland」こと「Atom CE4200」は、2010年9月にアナウンスがあったものの、中身については開発者向けイベント「IDF」に合わせて、ちょっと説明をした程度でしかない。
状況が不明なのは、同じく2010年中に出る予定であった「Elk Rock」という製品だ。45nmプロセスでAtomベースの製品ながら、いまだにアナウンスも搭載製品の情報もないままである。以前にインテルのロードマップでは、SodavilleがDVRやアナログSTB、GrovelandがデジタルSTB向けで、Elk Rockがデジタルテレビ向けであるといった説明がされていた。しかし、その後まったく情報が出てこないあたり、計画そのものがなくなった可能性もありそうだ。
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