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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第50回

ニコ動に住むギターの神様、その名は[TEST]

2011年03月05日 12時00分更新

文● 四本淑三

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[TEST]氏、デP愛を語る

―― 人間できてそうですもんねー。さて、どうしてそんな人がデPのバンドでやるんでしょうか?

[TEST] あいつと僕は全然違いますからね、実際。面白いですよね、あいつ。



―― たしかに面白いですけど。

[TEST] 僕はああいうタイプの人間は好きなんですよ。自分とはぜんぜん違う。だからこそ面白いんですよね。もちろん同族で集まって「だよね、だよね」で進んでいくのも面白いんですけど、「へえ、お前そうするの」というのが楽しいんですよね。

―― デPはなぜ[TEST]さんに気に入られているのか分からないみたいですよ。

[TEST] 彼は生き方も僕とはぜんぜん違うと思うし、人格もぜんぜん違う。でも彼の作る音楽は大好きなんですよ。

―― どこがいいんですか? 歌詞とかひどいですよ。

[TEST] 歌詞はひどいですね。でも曲も似てるんですよね。今のJ-POPは同じようなコード進行で作られている曲も多いのに、デPの曲がひどいのは、サビの1まわし目と2まわし目が違ったりするんですよ。微妙にテンションを変えてあったりするんです。そんなひどい曲を作る人が大好き!

―― ははははは!

[TEST] 彼は理論を勉強していると思うんですよね。でもそれをうまい具合に自分をセーブしていて、突き詰めた先に行くのを止めているんですね。だから理論を勉強した僕からみると、それはなかった考えだな、という動きをするんです。だから楽しいんです。裏切ってくれるから。

―― デPはニコ動で見たんですか?

[TEST] 最初の頃にボーカロイドの曲をいくつか聞いたけど、あまりピンとこなかったんですね。でも、デPの曲を聴いたときに、こんな新しい音楽ができたんだ、と思いました。そこからしばらくデPにはまっちゃって。デPの曲しか上げていないという時期がありました。

―― デPと最初に会ったのは?

[TEST] 学校の休みの合間に日本に帰ってきて、2008年の夏に「ニコニコサマーライブ」というのに出たんですね。そこでデPと同じバンドだったんです。

※ 「NicoNico Summer Live(笑)2008」。2008年8月23日に東京のディファ有明で行なわれた「歌ってみた」「演ってみた」系の人達によるライブ

―― 挙句は「デPフェス!」で全曲弾いてしまうと。大丈夫ですか?

[TEST] 今ちょうど楽譜を作成している最中なんですけど、まあひどいですね。

―― ははは!

[TEST] 1曲楽譜を作るのに普通は30分か1時間程度で済むんですが、デPの曲は3時間くらいかかるんですよ。

―― それは予想外のことをするから?

[TEST] 同じように聴こえるけどちょっと違うみたいな。間違い探しのようなレベルで変えてくるのを、ちゃんと聴き取ろうとすると、すごい時間がかかる。でも、そのたびにニヤニヤするんですよね。楽譜を作るのにニヤニヤするのはデPだけです。

―― それはますますフェスが楽しみじゃないですか。ありがとうございました!



著者紹介――四本淑三

 1963年生まれ。高校時代にロッキング・オンで音楽ライターとしてデビューするも、音楽業界に疑問を感じてすぐ引退。現在はインターネット時代ならではの音楽シーンのあり方に興味を持ち、ガジェット音楽やボーカロイドシーンをフォローするフリーライター。

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