2つに分かれたものを1つにしたい
―― 最後に、いまヤマハが目指しているものを教えてください。
杉井 アナログとデジタルを近づけたいというのが大きいです。PA(音楽の裏方。ミキサーやコンソーラーなど)の現場ではいまだにアナログミキサーを使っていたりするんですよ。そのミキサーにしか出ない音がある、もっと言えば、そこにある1台でしか出せない音があるからですね。
なら、それをデジタルにしたいと思いますよね。でも、それは決して数式になるものじゃないんです。数式通りにやっても同じ音にはならない。ヒストグラムにも出てこない。そこであきらめられない。耳で聴き、確かに違うと思えた部分を感じとり、調整して、ちょっとずつ近づけていく。うちの王道はそこなんです。
sonoteはまだ荒削りで完成の域には行き着いていないんですが、新しい可能性の1つだと思っています。
―― 2つに分かれていたものを1つにする。1つのテーマはそこですね。
杉井 その意味で面白いなと思うのが、やっぱり六本木と秋葉原です。秋葉原のライブハウス・MOGRAではボーカロイドで面白いことを次々にやっていて、一方で六本木SuperDeluxeでは、(DJツールなどで)音楽の新しい楽しみ方を創り出している。その面白さは本当に拮抗しているんです。
実際、DJをやっているウチの社員も、「いま東京で一番面白いのはMOGRAですよ」と話していたこともあります。六本木と秋葉原と言われると、一見まったく交わらない文化のようではあるんですが、実はすぐ近くまで来ているんですよ。六本木ではカフェだけじゃなく、3月11日にSuperDeluxeで、DEDE MOUSEさん、Riow Araiさん、Fragmentさん、DJ Codomoさんなどが、sonoteを使ったライブ「PLAYRE:PLAY」をやります。これにもぜひ期待してください!