IE9 TestDriveのベンチマークテストでは、やはりIE9 RCが高い性能を示している。Tag CloudやHTML5 Sudokuはグラフィック表示の比重が低く、JavaScript処理が中心となっているため、Firefox 4やChrome V10を超えている部分もある。だが、実際にJavaScriptでプログラミングされたページを見てみると、ベンチマークとして作成されたSunSpiderの数値とは結果が異なることがわかる。HTML5 SudokuではIE9 RCよりIE9 PP7の方が速いが、何度か計測してみたところ誤差の範囲のようだ。
グラフィック表示の比重が大きいGalacticは、IE9 RCがずば抜けて速い。これは、IE9 RCがHTML5のCanvasやSVGなどのグラフィック表示に関連する部分に、GPUを利用しているためだろう。
IE9 TestDriveのベンチマークプログラムはマイクロソフトが開発しているため、「IE9用にチューニングされているのでは?」という疑惑を持つかもしれない。だが一部のベンチマークでは、FirefoxやChromeの方が高い性能を示している場合もあるので、おおむね公正と考えている。
マイクロソフトではHTML5やCanvas、SVGなどを使うベンチマークや互換性テストを積極的に開発して、W3Cなどに提供している。こういったテスト環境を整えることが、IEの開発だけでなく、HTML5を普及させていく一歩になるのだ。
IE9のリリース時期は?
前回でも触れたIE9正式版のリリース時期だが、筆者は4月12日からラスベガスで開催されるウェブ開発者向けカンファレンス「MIX11」でお披露目されると予想している。一方で、マイクロソフトのIE開発者のブログ「Exploring IE」では、3月14日に米国テキサス州オースティンでイベントを開催するとしている。「これがIE9の正式リリースイベントでは」と、ネットでは噂されている。
IE9 RCの互換性テストやベンチマークを考えると、IE9 RCのリリースから1ヵ月で正式版に移行できるとは思えない。もう少し時間が必要だろう。そもそも1ヵ月程度では、IE9 RCを利用したユーザーや開発者からのフィードバックを正式版に反映させることはできないのではないか。だから、正式リリースは4月のMIXだと筆者は考える。
そうは言っても、IE9 RCの完成度はすでに高い。Windowsユーザーは是非とも、IE9正式版がリリースされたらインストールしてほしい。IE9に移行することで、ユーザーは素晴らしいウェブ体験を得られるだろう。
IE9を利用できるのがWindows 7とVistaだけというのは、Windows XPユーザーにとっては歯がゆいかもしれない。だが、これを機会にWindows 7へのバージョンアップを検討してもいいだろう。
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