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まつもとあつしの「メディア維新を行く」 第20回

GoogleとAmazonの本格参入が「第2の波」になる

電子書籍元年は幻だったのか? 現状を確認してみた

2011年02月25日 12時00分更新

文● まつもとあつし

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無視できないGoogleとAmazon

 2010年に発表されたGoogleエディション、そしてKindleの存在も無視できない。

 比較的好意的に受け止められたGoogleエディションは、ひと足先にスタートしているGoogleブックスのライブラリーを拡充させることになるだろう。Googleは審査・外部決済についても柔軟な姿勢をとっている。Googleブックスが標準搭載されるAndroid3.0(HoneyComb)搭載のタブレット端末が3月以降増えれば、ユーザーにも支持が広がる可能性が出る。

Googleエディションの本格始動とAndroid対応は、「第2の波」となる可能性が高い

 もう1つ、やはり忘れてはならないのはKindleの存在だ。昨年中にも日本での開始が噂されていたが、現時点でもまだ時期が明らかになっていない。しかし、AZWというDRMを全プラットフォームに対応させることで、ユーザーの利便性を相当高めてきている。本格スタートすれば日本でも支持を拡げることは間違いないだろう。

 中間フォーマットの策定や、日本語への対応を強化したEPUB3の採択によって、フォーマットの差異は競争要因ではなくなりつつあるが、それをパッケージするDRMの存在を忘れてはならない(関連記事)。

AmazonのKindleは、プラットフォームにとらわれない利便性が大きなアドバンテージだ

 このように、先行するiPadのストア戦略に混乱がみられるなか、Google、Amazon、そして国内プレイヤーの競争は続く。IDCの予想では2011年にタブレット型端末の販売台数は100万台の大台を突破する見込みだ。

 限られた作品ラインナップに対してきめ細やかなマーケティングを行ない、成果を上げるのが現在の主流だが、100万台突破以降はライブラリーの拡充、そこから生まれる検索・リコメンデーションによる輻輳が生まれてくるはずだ。

 2010年が元年だったことは間違いない。まだ舞台に上がっていない役者も控えるなか、2011年に再び電子書籍のプラットフォームとコンテンツを巡る動きは加速していくはずだ。書籍はアニメや映画といったコンテンツの源流でもある。本連載でも引き続き、折に触れて取り上げていきたい。

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著者紹介:まつもとあつし

ネットベンチャー、出版社、広告代理店などを経て、現在は東京大学大学院情報学環に在籍。ネットコミュニティやデジタルコンテンツのビジネス展開を研究しながら、IT方面の取材・コラム執筆、映像コンテンツのプロデュース活動を行なっている。DCM修士。この連載をまとめた新書『生き残るメディア 死ぬメディア 出版・映像ビジネスのゆくえ』(アスキー新書)も好評発売中。公式サイト松本淳PM事務所[ampm]。Twitterアカウントは@a_matsumoto

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