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時代を先取りしてきたユニファイドストレージ分野で実績を強調

Datacenter is Computer時代のネットアップの戦い方

2011年02月24日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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ストレージのスケーリングは容量だけではない

 基調講演の最後では、米ネットアップ CTOオフィスクラウド統括担当CTOであるヴァル・バーコヴィッチ氏は、今後のコンピューティングの動向やネットアップの方向性について講演した。同氏は、仮想インフラが一般化し、オンプレミスとクラウドが長らく併存するという見込みを示した後、モバイル、ソーシャルネットワーク、クラウド、分析・ゲーム理論、ビデオ・UCなどをITに影響を与える5つの要素として挙げた。

米ネットアップ CTOオフィスクラウド統括担当CTOであるヴァル・バーコヴィッチ氏

 さらに同氏は「フタコブラクダ」と表現されるグラフで「ITにおける変化の波」を振り返った。「パッケージソフトが台頭した過去の10年は、標準化が重視されてきた。ITフォーカスの時代であり、PC、クライアント/サーバーの時代だった。この10年は、最適化・統合に取り組む、コスト削減に注力している。特に現在の「クラウド1」はコスト削減が大きなテーマとなっていた」という。

フタコブラクダのようなITにおける変化の波

 次の「クラウド2」の流れについては、他のストレージベンダーでは、ファイルシステムでは対応できない非構造化データの増加という現象を「Big Data」と称しているが、同氏は新しいアプリケーションという波に注視する。「もちろんBig Dataという見方もあるが、これはあくまで結果として登場した派生物だ。むしろWindows AzureやAmazon Web Services、GoogleApp EngineなどPaaSの台頭、コンピューティング技術のパラレル化、さらには分散型データ管理やNo SQLなどの波が来ている」(バーコヴィッチ氏)と説明した。

 こうしたなか、同氏はストレージは容量だけではなく、パフォーマンス、運用の簡素化という3次元のスケーリングが重要だと説明。「ストレージは容量だけだと考えている人も多いが、それは敗者への道だ」と述べた。

 「サンは10年前『Network Is Computer』と述べていたが、今は『DataCenter Is Computer』である」と、バーコヴィッチ氏はこう述べる。こうした時代において柔軟にスケールアウトし、真に効率的なデータセンターを実現するためには、標準化技術を採用したユニファイドアーキテクチャが最適だとまとめた。

効率的なデータセンターの実現

 コストパフォーマンスをメインに据えたユーザー事例にせよ、ユニファイドストレージやBig Dataなどのトピックにせよ、全体のテーマとしてはストレージ専業ベンダーとして唯一の競合となったEMCを強く意識しているのが感じられた。とはいえ、昨今はEMCもミッドレンジストレージや重複排除ストレージや競争力のあるプライシングを実現しており、コストパフォーマンスや単一アーキテクチャのアピールだけでは、ネットアップが生き残れないもまた事実。総合力を駆使してくるHPやIBM、デル、国内メーカーなどとのつばぜり合いもあわせて、今後のシェア争いは目が離せない。

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