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フリーアドレスの先にあるEmpoweredOfficeの姿

働き方にメスを入れたNECネッツエスアイの引っ越し

2011年02月28日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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現場解決のために現場が考えた!与えられたオフィスではない

 さらに社会インフラ工事を担当しているネットワークインフラ事業本部も案内してもらった。実はこのオフィス改革は、事業本部ごとに課題を抽出し、オフィスプランを提出している。つまり、トップダウンのオフィスではなく、現場の課題解決のために現場が考えたオフィスなのだ。

 たとえば、会社の設立当初からの事業であるインフラ工事を担うネットワークインフラ事業本部は、組織の壁、階層の壁、年齢の壁、距離の壁などが厳然としてあり、複雑化し、複数システムの組み合わせ案件に大きな影響を与えるようになったという。そこで、若手を中心に見える化を推進。組織ではなく、「設計」「施工」「品質管理」という機能ごとに席を配置し、設計と施行・品質管理の間にレビューゾーンを置くというフロア構成を採用した。また、顧客の施行現場とオフィスをネットワークでつないで安全管理を行なうPSCC(Project Supervisory and Control Center)というコントロールセンターをオフィス内に設置した。

ネットワークインフラ事業本部でのオフィス改革を推進した事業企画室 事業企画部 事業企画課長 堀籠敬樹氏

機能別に席を配置し、紙も大幅に減らした

部署間に設置されたレビュースペースで調整を行なえる

 もともと同社は2007年に「EmpoweredOffice宣言」を行ない、東品川のオフィスにおいて、さまざまなオフィス改革を実践してきた。自席を持たないフリーアドレスやマネジメント層を隔離したひな壇レイアウトの廃止、キャビネットや会議室の撤去などアグレッシブなものばかりである。「社内の会議で隠すことなんて、なにもありません。会議室をとったり、時間をあわせたりするのも無駄が生じます。ですから会議室をなくし、キャビネットを減らしたスペースに机を置いて打ち合わせができるようにしました」(中原氏)といった施策だ。ひな壇を廃止したのも、上司が受け身で報告や連絡を待つのではなく、進んで情報を取りに行く「現地現物」を推進するため。そして、オフィスの無駄を排除し、創造性と効率性の向上を目指したという。「隣で座っているのにメールでやりとりしている」(中原氏)といういびつなオフィスのコミュニケーションを刷新するためでもあった。東品川では営業・SE部門が対象だったが、今回の飯田橋への移転に際しては、今までの延長ではなく、クオリティとコストのバランスをとったオフィス改革を全社的に拡げた形だ。

 もちろん、こうしたオフィス改革は一朝一夕で成功したわけではない。社歴の長い人ほど古いワークスタイルを固持し、なかなか新しいスタイルに移行できない。そのため、内部的にはかなりの軋轢もあったようだ。とはいえ、最終的には全社員で取り組む問題として、オフィス作りの「ホワイトペーパー」を作成し、全員で目標を共有した。

 こうした同社のオフィス改革のノウハウはEmpowered Officeというオフィスソリューションにも活かされており、社内見学や社内設置されたショールームにはひっきりなしに人が訪れるという。移転の模様は本社移転プロジェクトブログで逐一掲載されている。

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