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渡辺由美子の「誰がためにアニメは生まれる」 第14回

恐怖ですぞ~!その「世間様」とは何でござるか!

これがオタクの生きる道!「海月姫」監督に聞く【前編】

2011年02月19日 12時00分更新

文● 渡辺由美子(@watanabe_yumiko

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コンプレックスに男女差はない

―― 相手に思いを伝えたいから語るのではなくて、理解してくれないことをうすうす分かっていて、でも言い切ってしまいたいのかもしれませんね。そうしたオタクというものを考えたときに、男性と女性ではどんな違いがあると思いましたか。

大森 根本的にはそんなに違いはないんじゃないかと思っています。

―― 個人的にオタク女子ならではと思ったのが、月海が「クラゲみたいなドレスがあったらきれいだな」と感じる反面、「こんなきれいな服は自分には着られないだろう」と、自分にツッコミを入れて勝手に気後れして、ひとりでコンプレックスを抱えてしまうところでした。

大森 あ、でもそういうところは男子も結構同じなんじゃないかなと思いますよ。

 異性に対して気後れするとか、そりゃ男子もコンプレックスに思いますよ。やっぱりみんな、小学校、中学校のときから、好きな女の子に告白してもうまくいかなかったり、それ以前に、告白なんて無理だろうと思って引いてしまったりということはあるんじゃないですか。それこそ月海みたいに「私なんかがあんな格好したって」みたいなこととか、男子も一緒だと思います。

 それで「俺には漫画があるから」と、シャットアウトすることもあるかもしれないし。

―― なるほど。「海月姫」でも、オシャレ人間がいっぱいいる渋谷には行けないみたいな、尼~ずの描写はたくさんありましたね。男女ともオタクのメンタリティというものは、あまり変わらないのかも。

大森 憧れが大きいものに対して、自分には手が届かないと勝手に思って線引きをしてしまうとか、他人から自分はこんな風に見えているに違いないと被害妄想を膨らませてしまうとか。オタクというのは、そうしたメンタリティが非常に面倒くさいですよね。自らも振り返ってそう思うんですけど。僕自身がそうでしたから(笑)。

―― 監督ご自身にもそういった経験が? 

大森 そうですね。アニメーションを作りたいと思ったのも、アニメが好きだったからですし。でもただでさえ、アニメ以外のことに対してもいろいろコンプレックスを抱えていたりしてるのに、アニメ好きってこと自体にも何か引け目のようなものがあったり。オタクの性分というのは、わりと性別、年代を超えて同じようなところがあると思いますね。

(次のページに続きます)

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