位置情報をソーシャルメディアで
どのように生かすか?
位置情報はソーシャルメディアで積極的に取り組まれている分野だ。
たとえばTwitterはスマートフォンからの投稿時に現在位置情報を含めることができるとともに、Twitter専用アプリからは自分の周りで投稿されたツイートを検索できる。Facebookにも場所へのチェックイン機能があり、自分とつながっている友達と「一緒にいる」ことも記録でき、世界最大のソーシャルグラフを有するFacebookならではのサービスと言える。
foursquareも、チェックインした際にTwitterやFacebookに投稿できる機能が備わっており、位置情報を単なる座標ではなく、たとえば「渋谷駅」「ハチ公前」といったスポット名をコメントに書き込むことができる。またその際、同場所同時間にチェックインしているユーザーの人数もわかる。
一例を挙げると、同じ場所に20人いた場合、foursquareの画面では「20 people」と表示され、Twitterに書き込まれる際には「w/ 20 others」と付記される。その中にfoursquareでつながっている友達がいれば、その人のTwitter IDも表示され、同じ場所にチェックインしていることがわかる仕掛けだ。
チェックインすると、その場所にいる他の人や、その場所に残されている写真、あるいはTipsなどをチェックすることができる。たとえば六本木ヒルズのカフェの無線LAN事情をTipsで残してみると、六本木ヒルズにチェックインした他のユーザーにもこの情報を見てもらうことができる。街の中のちょっとした出来事や使いこなすコツを蓄積、共有してコミュニケーションを取っていくことで、単なる位置情報つきのツイート投稿ツール以上の活用をすることができるようになるわけだ。
チェックインが表現するコミットメントとロイヤリティ
foursquareのもともとの楽しみは位置情報ゲームの要素が強い。同じ都市内やつながっている友達の間で、1週間に獲得するポイントのランキングが表示される。ポイントはチェックインや新しいスポットの登録で付与され、foursquareを使えば使うほどポイントを稼ぐことができる。
各スポットには「Mayor」(日本語で市長といった意味)と呼ばれる人が1人ずつ任命され、この権利を奪い合う競争もある。60日間で何日チェックインしたかが指標になるため、1日に3回チェックインしてもカウントは1のままだ。ちなみにもうすぐMayerになれそうな場所にチェックインすると、あと何日チェックインすればMayorになれるか表示してくれるようになっている。
このMayorのカウントの仕組みは、日常的に人が訪れてほしいバーやカフェにはぴったりだ。ニューヨークではfoursquareのMayorには1ドリンクフリーにするなどのサービスを店舗で用意しているケースもある。足繁く通っている人のロイヤリティを可視化し、競わせる仕掛けとして興味深い。
そしてバッジ集めもfoursquareの楽しみ方の1つだ。これはある一定の条件をクリアするとゲットすることができる。いわばfoursquareユーザーの評価みたいなものだ。例えばApple Storeに5ヵ所以上チェックインすると「Jobs」というバッジがもらえる。あるいは5ヵ所以上の空港にチェックインすると「Jet Setter」、異なる5店舗のスターバックスにチェックインするともらえる「Barista」など、非常にたくさんのバッジがあり、突然もらえると結構うれしくなる。
リアル店舗やイベントとの連携で
イベントやキャンペーンが展開されている
上で例を挙げたバッジのうち、最後の「Barista」は他の2つとは異なっている。これはアメリカのStarbucksがfoursquareとのタイアップで作ったバッジで、2010年5月~6月にStarbucks各店舗のMayorは会計時に1ドル割り引くキャンペーンも行なわれていた。また同じく2010年のニューヨークのファッションウィークでは、マーク・ジェイコブズがブティックへのチェックインで限定のバッジを配布するなどのパートナーシップも展開された。
リアル店舗を持っている飲食店や小売店が顧客にいかに足を運んでもらうか、ロイヤリティを競ってもらうかという手段に、実際に現地に行かなければ不可能な「チェックイン」の仕組みを活用する例が、活発に行なわれている。前回記事(関連記事)でご紹介したデトロイトのモーターショーでは、GPSの位置情報が取りにくい室内でも、各自動車メーカーがfoursquareのスポットを作ってチェックインしてもらうようにするなど、その活用は単発のイベントにも広がっている。
そして2月上旬に行なわれたスーパーボウルでは10万人近いチェックインが集まったという。これはユーザーの現在地と関係なく、チェックインできるようにしたもので、皆が注目するイベントへのコミットメントを表明する手段としても活用されているのだ。
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