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西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第63回

開発者に聞く LifeTouchはモバイルギアの夢を見るか?

2011年02月15日 11時00分更新

文● 西田 宗千佳

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AndroidにないInsert、Deleteキーや
かな入力は独自に開発

 キーボードという意味で、開発陣がもうひとつこだわった点がある。それは「パソコンとの操作の親和性」だ。

渡邉「重視したのは『パソコンユーザーがいかにスムーズに入ってこれるか』ということです。キーレイアウトも、パソコンユーザーに違和感のない配置を実現しました」

「例えば、AndroidにはInsertやDeleteなどのキーがありません。ですから、これはわざわざ用意しました。キーボードにこだわると決めたら、すぐにジャストシステム様にお声をお掛けして、日本語変換ソフトとして『ATOK』を搭載する方向で、共同開発を始めました」

日本語入力ソフトとして「ATOK」を採用。基本的には既存のAndorid版に準拠する内容だが、操作系はキーボードに特化している

花岡「『パソコン風に打てる』ことへのこだわりは、最初からありました。開発初期には『なぜそれが必要なのか』という議論もありました。しかし物が仕上がってくると、開発メンバーもそれが必要だと理解してくれました。小さい方(スマートフォン)から入って来るユーザーがいることを考えても、パソコンにスマートフォン、それに加えて『第3のキーレイアウト』を覚えなければいけない、というのは違うだろうという発想です」

渡邉「同様にこだわったのが、キーカスタマイズです。Ctrlと(左側の)Menu、Fnキーの入れ替えに対応しました。このあたりは、古くからのパソコンユーザーやMacユーザーの方が利用することも考えてのものです」

「キーカスタマイズの機能は、標準のAndroidには存在しないものです。この部分のカスタマイズは自社内で行ないました。我々のグループ内にはエンジニアもいますので。他社が開発したもの移植するのではなく、自社のエンジニアが作り込みながら開発しました」

「こういったカスタマイズ部分については、『OHA』(Open Handset Alliance、Androidの開発推進組織)にフィードバックしています。いつかは他社から、同じような要素を備えた製品が出てくるかもしれません」

「Ctrl」「Menu」「fn」の3つのキーは配置を入れ替えられる。ユーザーの好みに合わせるという意味では、とてもありがたい機能だ

 ここで、肝心のキーボードの操作性について感想を述べておこう。サイズは申し分なく窮屈さは感じない。配列は若干イレギュラーで、特に右側のShiftキーがない点には違和感を覚えた。だがその違和感よりも、Ctrlキーとのセットによる変換関連のATOKのショートカット操作が、そのまま利用できる快適さの方が勝る。

LifeTouchのキーボード。配列はやや特殊だが、PCでのATOK操作時のショートカットキーがそのまま使える

 かな入力での「ろ」キーの位置がかなり微妙だが([↑]キーの右)、かな入力にも対応している。Ctrlキーとのコンビネーションやかな入力のサポートなどは、Android端末としては特別なものであり、間違いなくプラスに働いている。CtrlキーとMenuキーの入れ替えができるのも個人的にはプラスだ。筆者は個人所有のWindows機もすべてCtrlとCaps Lockキーを入れ替えて使っているので、これができるとできないとでは大きな差が出る。

 他方で、キー自体の品質には疑問も感じる。サイズ的には問題なく、かなりの速度でタイプができるのはありがたいが、タイプ感が浅いこと、中央部に若干のたわみを感じることなどがあり、満点はつけられない。この点については、また後で触れることとしたい。

 パソコン用の日本語入力環境と一番違うのは、変換候補列がインラインで表示されるのではなく、画面最下部に表示されるところだろう。正直この点も違和感が残った。だが、この点はある部分「狙い」でもあるという。

花岡「このハードなら、画面をタッチして操作できます。そのため画面下部に変換候補列を表示して、タッチで操作する方が早いのではないか、と考えてのものです」

変換候補の選択はカーソルキーもしくはタッチ操作で行なう。あえてインラインに候補を出さず、指を伸ばしやすい最下列に固定している

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