本来のスケジュールであれば、1月の製品に続いて、2月には「Core i5-2405S、2390T」や「Core i3-2105、2102、2100、2100T」、「Pentium G850/G840/G620/G620T」といったエントリー~メインストリーム向けの製品を大量に出荷して、急速に従来の製品ラインを置き換える予定だった。
ところがP67/H67の欠陥に対応するために、主要なOEMベンダーは既存のP67/H67マザーボードを出荷停止。3月末~4月に予定されている欠陥を修正した新リビジョンの出荷までは、出荷を再開しない意向を示している(一部のベンダーはSATAカードを付属するといった形で対処するようだ)。
これはPCベンダーも同様で、各社ともあわてて製品計画を変更することになった。こうなると、2月に予定していたCore i5/i3やPentium Dual Coreは、延期が必然と考えられている。なにしろCPUを出したところで、対応するチップセットが4月まで出てこないのでは話にならない。一応ロードマップ図では、これらの製品を「2月リリース」として記載したが、実際には4月まで登場しないものと思われる。
余談ながら、このあおりを受けてPCベンダー各社は、ClarkdaleベースのCore i3/i5搭載製品をもう少し長く生産することにしたようだ。結果としてClarkdale→Sandy Bridgeの交代時期も、先延ばしになってしまった。
エクストリームセグメントには
LGA2011対応の新CPUが2011年後半に
こうした影響をほとんど受けないと思われる唯一の製品が、3月に予定されている「Core i7-990X」と、6月に予定されている「Core i7-995X」だ。どちらもWestmereベースの6コアのまま、動作周波数を引き上げた製品となる。
また2011年後半には、Sandy Bridgeが初めてCore i7 Extreme Editionに投入されることになる。これは現在投入されている4コアの「Sandy Bridge-DT」ではなく、Xeon向けに製造される6/8コアのもので、GPUは搭載せず、代わりにメモリーバスがDDR3の4チャンネルになるというお化けである。パッケージもXeonと同じ「LGA2011」(Socket R)を使うもようで、既存の「LGA1366」は終了する。
当初このマーケットには、LGA1366と同様に3チャンネルのメモリーバスを持つ「LGA1356」(Socket B2と呼ばれていた)というソケットが使われる予定だった。ところが最近の話では、これはシングルプロセッサーサーバー向けのみに限られ、Extreme Editionにはデュアルプロセッサーサーバー用のLGA2011を使うという話になっている。
そもそもExtreme Editionの目的は何かと言えば、AMDのハイエンド向け製品への対抗である。そして2011年後半という時期は、AMDが「Bulldozer」ベースの8コア製品である「Scorpius」を投入する頃合にあたる。
特にAMDはこの世代で、CPU製品に「FX」ブランドを復活させるという話が聞こえている。この話の信憑性はともかくとして、これにスペックで対抗するためには、3チャンネルDDR3では不十分と判断したとしても不思議ではない。ちなみに、ロードマップ図では9月リリースと記載したが、実際はScorpiusの登場時期にぶつけるために、もう少し前後するだろう。
Sandy Bridgeに続く製品は、インテル初の22nm世代である「Ivy Bridge」となる。Sandy Bridgeのチップセット欠陥騒ぎのネガティブイメージを少しでも消すためか、インテルは2011年5月末から開催される展示会「COMPUTEX TAIPEI 2011」でIvy Bridgeの動作デモを行なう、なんて話も出ている。
筆者は、その前の4月に開催される開発者向けイベント「IDF 2011 Beijing」で、お披露目があるのではないかという気がするのだが、どちらにしても製品としてリリースされるのは2012年に入ってからだろう。Sandy Bridgeの時と同じく、2012年1月にラスベガスで開かれる展示会「CES 2012」で発表というスケジュールになり、やはりSandy Bridgeと同じく、当初はCore i7(とCore i5)で投入され、後追いでCore i3やPentium Dual Coreにも展開されるだろう。
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