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2日間のイベントを一挙に振り返る

完璧なライブに進化した「ニコニコ大会議ツアーFINAL」

2011年02月11日 12時00分更新

文● 広田稔(@kawauso3

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チェーンソーアートや奇術に驚く! アート編

 今回のニコニコ大会議が過去のものと決定的に違ったのは、アートや演芸の要素を取り入れたということ。今までの「歌ってみた」中心の構成から抜け出して、もう少し広い目でニコ動を見たステージに仕上がっていた。

 1日目には、チェーンソーを丸太に差し込んでアニメなどのキャラクターを彫る動画で知られる「ジェイソンさん」が、その腕前を舞台で見せつける。王族BANDの即興演奏をバックに、木屑を飛び散らかしながら丸太を削っていく姿は、圧巻の一言。固唾を飲んで見守っていると、10分ほどで初音ミクの木像を完成させていた。

ホッケーマスクだからジェイソンさん

初音ミクを彫り上げ、ネギを刺して荒ぶっていた

入り口にはジェイソンさんが彫った自身とミクの木像が展示された

 ジェイソンさんに続き、藤山晃太郎さんが、横笛や三味線のお囃子をバックに江戸古典奇術の「手妻」(てづま)を披露。演目は「金輪切」(かなわぎり)で、藤山さんが切れ目がないはずの金輪をはめたり外したりすると「えーっ!」という歓声が上がった。

藤山晃太郎さんとお囃子(杵家七三社中)。藤山さんは「エルシャダイ 演ってみた」のイーノック役や、「ダブルラリアット 回ってみたでござる」の投稿で知られる

1日目のオープニング後には、ニコニコミュージカル「東方見聞録」のメンバーが登場しスピンアウトを演じた


「技術部」「美術部」がロビーに展示

 ロビーには、「作ってみた」系の動画を投稿する「ニコニコ技術部」の作品や、「ニコニコ静画」に投稿されている「描いてみた」系のマンガやイラストが展示されていた。


 ――という感じで、会場の雰囲気が少しはお伝えできただろうか? 会場で今回のリアルチケットの倍率は10倍だったと発表されていたが、それもうなずけるような濃い内容だった。

 1年前、ニコニコ大会議ツアーで舞台に突然上げられたときは本当に「素人」だった出演者も、この1年でライブイベントなどの活動を重ねることで本当に成長し、この大会議ファイナルという大舞台でプロと遜色ないパフォーマンスを見せていた。

 ステージに立つユーザーだけでなく、それを支える運営スタッフの力があっての成功ともいえる。舞台監督の山形龍司氏、オープニングビデオを仕込んだ佐藤大輔氏といった、格闘技イベント「PRIDE」を手掛けた方々が、プロの仕事で舞台のクオリティーを引き上げた。

 総合企画や出演/楽曲交渉などを担当した「プロのニコ厨」齋藤P氏が、ユーザーの気持ちをすくい上げる「分かった」演目を用意したことも見逃せない。舞台、動画、生放送など100人を超えるスタッフの力があってこそ、この一大イベントを成功に導けたのだろう。

 ニコ動、ニコ生の原動力は、面白さの連鎖にある。提案されたネタを全力で「カイゼン」し、プロ顔負けのクオリティーに仕上げてインパクトを生む。想像もつかなかった「斜め上」の表現で提案して「謎の感動」を呼ぶこともある。進化と突然変異の繰り返しだ。

 そういう意味では、ニコニコ大会議の歩んできた道と似ている。冗談のような製品発表会としてスタートして、素人をいきなり舞台に上げるという難関に挑み、ライブイベントとして遜色ないレベルにまで引き上げつつ、新要素も投入してくる。永遠にバージョンアップしていくニコ動のように、大会議も変化を止めない。次のニコニコ大会議がどう進化するか、どんな仕掛けが用意されるのか、ぜひ注目したい。


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