中国では春節(旧正月)となり、先週後半から中国人観光客が大挙して買い物や旅行に行くというニュースが報じられた。
世界最高品質の日本向けの製品を確実に買うなら、現地の中国人バイヤーを介さずに日本に直接行って買った方がいい(もちろんネットができないが日本向け製品は欲しい人も多くいる)という理由で、熱しやすく冷めやすい中国人は今年もたくさん日本にやってきている。
一方で筆者のブログ記事でも紹介したように、オンラインショッピングサイトも春節商戦となっている。個人も出店できる中国ナンバー1の人気オンラインショッピングサイト「淘宝網」を筆頭に、百度配下の「有※」(※は口へんに阿)や、楽天のような企業対個人のオンラインショッピングサイト「淘宝商城」「京東商城」「当当網」「凡客」となどが盛り上がっている。
特に昨年末から今年にかけ、低価格と信頼を求め、淘宝商城のメーカー旗艦店や著名な小売店のサイトから購入する人の増加が注目されている。
ここで言う信頼とは「ホンモノが届く」ということ。淘宝網は個人出品ゆえに、ニセモノや不良品やモックアップを送りつける悪徳商人・悪徳業者は少なくない。
(スマートフォンではない)携帯電話は日本円にして1万円しないものも多く、万が一騙されても、薄型テレビやノートパソコンやデジタル一眼レフカメラで騙されることに比べれば痛すぎはしない。
信頼できる淘宝商城などの登場は、オンラインショッピングで特に高額商品の消費に確実に弾みがついたといえる。
そんな本格スタート間もない淘宝商城で、ガジェットのジャンル別で、2010年に最も売れた製品は何か? という「2010年度盤点 最受歓迎数碼榜」が発表された。これを紐解いていこう。
一番売れたのは各種メモリー
昨年最も売れたのは、意外にも安価なメモリー類。キングストンのmicro SDメモリーカード(2GB)が8万2400個、USBメモリーもキングストン製の4GBのものが人気で、5万2140個も売れた。
メモリー類は特にニセモノが多く、電脳街で売られているSDメモリーカードの8割が偽造品だとか。安心が売りのサンディスクのSDメモリーカードも、売られているモノの4割が偽造品だとかで、話題が絶えない。
多くの携帯電話やPCに必須のストレージでありながら、データが吹っ飛ぶ可能性と背中合わせというスリリングな製品だったが、信頼できるショップの登場で多少安心して買えるようになったわけだ。
PCはレノボとサムスン電子が人気
では、その母艦となるPCや携帯電話はどうなのか(あくまで淘宝商城での年間販売台数の話)。
PCはレノボの「IdeaPad Y460」がナンバー1で4135台。IdeaPad Yは筆者自身、何度となく話題を聞いた年間を通しても人気のシリーズで、その秘密はGPU搭載&専門メーカーによるスピーカー。ゲームでもDVD再生でも何でもパワフルにこなし、著名なレノボだからこそ安心で人気になった。
また、レノボでは「ThinkPad SL410K」というモデルが3000元(4万円弱)を切った価格で登場し、1日で612台販売という記録を作り上げた。
ネットブックで最も売れたのはサムスン電子の「N148」という、日本円にして3万円程度のモデルで、販売台数は1577台。日系メーカーの製品では日本未発売のソニー「VAIO E38」という、GPU搭載&Core i5搭載のハイパフォーマンスな2スピンドルノートが「女性向けノート」のジャンルで1位、東芝のデュアルタッチパネル搭載の新「Libretto」(関連記事)が「ファッショナブルノート」のジャンルで1位となった。
販売数としては前者が449台、後者が279台で、レノボのIdeaPad Yと比べるとあまりに少ないが、日本のPCは“ファッショナブルPC”というニッチなジャンルなどで受け入れられているようだ。
淘宝商場では、デスクトップPCの販売数は紹介されていない。中国ではデスクトップPCといえば自作である。デスクトップPCを買えばインターフェース類が必須となるが、キーボード・マウスセットは中国で名のある「雷柏」製のが3万9037個、マウス単品ではロジクールのワイヤレスマウス「M215」が4万6304個、人気チャットソフト「QQ」(関連記事)の利用に欠かせないウェブカメラは3万595個、動画共有サイトやDVD再生に必要なスピーカーセットは1万9980個が売れた。
モニターはサムスン電子の19インチが人気だったが、その販売台数は僅か1103個。2.5インチバルクHDDは日立製のものが1700個しか売れていない。モニター以外のインターフェース類はオンラインショッピングサイトだとよく売れるらしい。
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