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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第87回

難産のGF100で苦しんだ NVIDIA GPUの2009~2011年

2011年02月07日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/

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NVIDIA GPUの2009~2011年ロードマップ

NVIDIA GPUの2009~2011年ロードマップ

28nmプロセス対応の次世代版は
年内に登場するか?

 ここからは今後のロードマップを予想してみる。まず「GF116」ベースの製品が2月中か、遅くても3月にはリリースされるだろう。図では名称を「GeForce GTS 550」と記したが、GTSブランドをやめて「GT 550」になるかもしれない。

 GTS 550は性能レンジ的に、GeForce GTX 560 TiとGeForece GTS 450の間あたりに位置することになると思われる。またNVIDIAの通例に習い、今後は「GeFore GTX 570/560/550/GT 440」のOEM向け製品が多数出てくると思われる。

 またこれらとは別に、GF110×2のトップエンド製品が2月~3月に登場するという話もある。目的は言うまでもなく、「Radeon HD 6990」への対抗だ。300Wの消費電力枠に収めるために、動作周波数はかなり落とすものと思われるが、Radeon HD 6990もやはり大幅に動作周波数を落とさないと300W枠に収まらないので、そのあたりも同等であろう。価格的にもかなり高価な製品になるだろうが、あくまでトップエンスージアスト向けの製品であり、大量販売を狙うものではないから実現に問題はないだろう。

 もっと先の話をすれば、TSMCの28nmプロセスへの移行が待ち構えている。TSMCの28nmプロセスは、すでにネットワーク用半導体のNetLogic社が、最初の製品のテープアウトを済ませたことをアナウンスしている。NVIDIAやAMDは、これに続く第2~第3グループに属していると思われる。そうなると早ければ3月、遅くとも6月までにはテープアウトが済むはずで、そうでなければ2011年中の製品リリースは難しいだろう。

 ちなみに、この28nmプロセス世代はコード名「Kepler」と呼ばれており、消費電力あたりの演算性能(GFLOPS/W)が「Tesla(GT100)の5倍」という目標になっている。TeslaとはGeForce GTX 200シリーズのことで、単精度浮動小数点演算ではそこそこだが、倍精度になるとかなり性能が落ちる。

 実際に、TeslaからFermi(GF100)で浮動小数点演算の絶対性能は約6.6倍に、消費電力あたりの性能でも約5.2倍になっている。5倍がもし倍精度なら、すでに実現されているわけだ。そのため、話は単精度演算であろうと思われる。55nmのGeForce GTX 200シリーズと28nmプロセスのKeplerでは、同じ構成なら消費電力は消費電力がざっくり半分以下になる。これに加えて、省電力化の仕組みを積極的に取り込むことで、5倍の性能を狙うというあたりではないかと想像される。

 CUDAコア数そのものを理論上2倍にすることは可能だが、現実的には難しそうだ。省電力機構の増加や、40nm世代よりもさらに増える統計論的ゆらぎに対応するためのマージン、さらには歩留まり向上を狙ってのダイサイズ縮小などを考慮する必要もある。そうなると、常識的にはCUDAコア数は1.5倍程度に抑えるのではないか? というのが筆者の推定である。

 1.5倍程度ならば、現行の384bitメモリーバスのままGDDR5の信号周波数を上げて対応できる計算だ。NVIDIA製品は今のところ、GDDRの信号レートは4GHzどまりだが、AMDはすでに6GHz近くまで上げてきている。つまり、あと50%の帯域向上のマージンがNVIDIAに残されているわけで、1.5倍に増えるCUDAコアとメモリー帯域の50%向上で、ちょうどマッチすることになるからだ。

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