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アニメファンならぜひ行きたい!聖地巡礼ツアー 第13回

満を持して登場! 「けいおん!」の聖地で誕生会

2011年02月09日 18時00分更新

文● 中村信博 ●写真/痛車カメラマンK

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キャラたちが過ごした校舎へと

 ひとしきり豊郷町を回った後は、いよいよ旧校舎へ。豊郷小学校は町の中心部、国道8号線から少し東に入ったところにある。小学校自体は近くの新校舎へと移転しているが、旧校舎はいまでは街の図書館などが入った公共施設として一般に開放されている。

 向かって正面に校舎棟、右手に講堂、そして左手には酬徳記念館(旧図書館)があり、それぞれが渡り廊下で結ばれたひとつの校舎となっているのだ。校門から校舎棟まで車寄せが伸びており、正面には鯉が泳ぐ丸い噴水があって、よく手入れされた芝生の広場が周りを囲んでいる。

豊郷小学校旧校舎の全景。古いようでどこか新しい、不思議な印象のデザインだ。今では町のシンボルとなった旧校舎の前には、よく手入れされた芝生の広場が広がっている

向かって右手にある講堂。「けいおん!」劇中の学園祭で、軽音部の一同がライブを開いたメモリアルな場所だ

そして左手にあるのが、かつて学校図書館が入っていた酬徳記念館。毎週土日には「けいおん!カフェ」が営業している

 旧校舎が建てられたのは昭和12年(1937年)というから、今から70年以上も前のこと。この街出身の実業家・古川鉄治郎氏が私財を投げ打ち、アメリカ人建築家のウィリアム・M・ヴォーリズ氏に設計を依頼して建てられた。当時のお金で60万円、現在の価値に換算すると10億円以上という巨費によって建てられた校舎は、当時としては非常に珍しい鉄筋コンクリート造りで、暖房設備や水洗トイレが完備され、東洋一の小学校として内外に広く知られた存在だったのだ。

正面にある噴水には、躍り上がる鯉をモチーフにしたブロンズ像。池には色とりどりの鯉が泳いでいる

劇中でよくコスプレされていた胸像は、この学校の建設資金を寄付した古川鉄治郎氏のもの。古川氏は、昭和初期に伊藤忠兵衛商店(現在の伊藤忠商事、丸紅)の専務だった、豊郷町出身の名士だ

サンタ姿の唯の特大飛び出し女子高生看板が。去年のクリスマスに使われたものかな?

旧校舎は平成20年(2008年)に改修され、竣工当時の白亜の校舎が蘇った。校舎を設計したヴォーリズ氏は日本各地に名建築を残した建築家だが、一方で「メンソレータム」で知られる近江兄弟社の創立者の一人でもある

 正面玄関で靴を脱ぎ、建物の中へ(土足厳禁)。黒光りする板張りの廊下が左右に長く伸び、自分の足音だけが真っ白な壁に反響している。その雰囲気は、今まさに授業中の桜高の廊下に立っているかのような感覚だ。手摺りに置かれたブロンズ製のウサギと亀の像を撫でながら階段を上り、そして最上階にある「軽音部部室」を訪問する。

正面玄関を入って左右を見渡すと、木床の廊下がずっと続いている。差し渡し125メートルという長さは、当時の建築物としてはかなりの長さだそうだ

コンクリートの壁に木製の窓枠というのは、新しいようでいて、どこか懐かしい雰囲気

教室では、昭和初期に使われていた古い机を並べて、かつての姿を復元していた。こう見ると、70年以上前の姿とは思えないほどモダンな教室だ

豊郷町の物産品を展示している部屋。壁のポスターからも、いかに町がファンの来訪を歓迎しているのかがわかる

玄関脇の階段から上層階へ。特徴的な丸い穴の開いた手摺りとその上のウサギとカメのブロンズ像が目をひく。劇中でもよく登場した一葉だ

手摺りのブロンズ像は、イソップ寓話の「ウサギとカメ」から取られたもの。実は階段を上がるごとに物語が進行するようになっていて、最後は踊り場で休むウサギを、先にゴールしたカメが見下ろすように置かれているのだ

最上階に到着。これも劇中でよく登場した角度だ。劇中では軽音部部室として使われる音楽準備室という設定だが、実際にはこの部屋は会議室として使われていたそうだ

もちろん、われわれにとってここはまぎれもなく軽音部部室であるからして、入口にはケロちゃんの人形が!

最上階の踊り場から下を見下ろす。「けいおん!!」最終話で、駆け下りていく先輩たちをあずにゃんが見送った角度が、まさにこれ!

いよいよ軽音部部室の内部へ。楽器がないせいか、劇中の印象よりも少し広い感じがするが、窓枠や部屋の配置はまさにそのまま

軽音部部員が放課後にお茶をしていた机も、ファンの手で再現されている

紬のティーセットが置かれていた戸棚も再現。劇中では部室の隅にあったが、実際には隣の唱歌室(音楽室)との間にある小さな部屋の壁に作りつけられたもの

部室の中は、ファンが持ち寄ったグッズでにぎやかに演出されていた。この部屋に限り、ホワイトボードや黒板には気軽にメッセージの書き込みOKとのこと

音楽準備室をはさんで、隣が唱歌室(音楽室)。「けいおん!」劇中でも、第1話で律と澪が入部希望者を待ち続けるカットで登場

講堂ではバースデーイベントの準備が着々と進んでいた。床に固定された木の長椅子が、どことなく教会を思わせる造りだ

講堂では舞台袖の見学も可能。学園祭ライブ前の軽音部一同が登場の時を待っていた、あの緊張の場所だ

(次ページへ続く)

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