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ジョン・レッシグに聞く、jQueryのこれから (2/2)

2011年03月11日 11時00分更新

文●西畑一馬/to-R、Web Professional編集部

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マルチプラットフォーム対応がWebの強み

西畑 jQuery Mobileを使うと機能的にはネイティブアプリに近いWebアプリが作れますが、ネイティブアプリには課金の仕組みがある分、マネタイズしやすいという面もあります。ジョンさんはどう考えますか?

「jQueryデザイン入門」の著者、西畑一馬氏

ジョン Webアプリの最大の強みは「マルチプラットフォーム」だということです。たとえばAndroidと一口に言ってもいろんなバージョンがあって、バージョンごとにプログラムを書き換えないと動かない場合もあります。Webアプリにはそういった手間がありません。

 「Webアプリはマネタイズしづらい」という点は確かにありますね。1つのソリューションとしては、(Webアプリをネイティブアプリ化する)PhoneGAPを使う方法があります。PhoneGAPの技術を使えば、Webアプリでもネイティブと同じように振る舞えます。

西畑 話を少し戻しますが、jQuery Coreの部分は今後どうなっていくのでしょうか。jQueryプロジェクト全体の将来像は?

ジョン jQueyr Coreでもっとも気を付けているのは、「パフォーマンス」と「拡張性」です。逆にいうと、今後バージョンがあがっても変わるのはそこだけ。パフォーマンスと拡張性を除けば、ほかはほとんど変わらないでしょう。

西畑 jQueryはすでにJavaScriptのフレームワークという枠を超えて、1つの新しい言語のような存在にすらなりつつあるように思います。ジョンさん始め開発チームの責任も重くなってきていると思いますが、どう考えていますか。

ジョン 確かにこれだけ広く使われるになると、いろいろな責任は感じています。1つは、jQueryのブラウザーチューニング。細かなバグフィクスとjQueryの実行速度をもっと速くすることに取り組んでいます。そしてもう1つは、ユーザーへの教育、啓蒙活動。JavaScriptへの理解をもっと深めてもらうことですね。これらの活動に力を入れていきたいと思います。

インタビュー終了後に握手を交わすレッシグ氏と西畑氏

※このインタビューは2010年11月に東京都内で収録したものです。

jQuery Mobileを日本で初披露した
Web Directions East 2010

 昨年11月に東京都内で開催されたWeb Directions East 2010では、ジョン・レッシグ氏が登壇。日本のWeb制作者や開発者に向けて、jQuery Mobileを初めて直接紹介した。

 jQuery Mobileの目標は、「なるべく多くのデバイス、プラットフォームに対応できるライブラリーを作ること」だという。とはいえ、モバイルデバイスは膨大な種類があり、主要なプラットフォームだけでもかなりの数がある。調査会社の販売台数データやStatCounterのような統計データはあるものの、プラットフォームやブラウザーのバージョンごとのシェアを測る客観的な資料はない。

 そこでレッシグ氏は、「直感的に」決めることにした。米ヤフーがPC版で実施している「Graded Browser Support」の考え方をもとにブラウザーの品質を採点し、サポートブラウザーを線引きしたという。テストの結果とjQuery Mobileのサポート方針は、Mobile Graded Browser Supportにまとめられている。

 レッシグ氏は、簡単なサンプルコードを示しながら、jQuery Mobileで作成できるGUIを披露。デモンストレーションを通じて、jQuery Mobileの手軽さをアピールした。

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