Fusion APUとの兼ね合いで性能を上げるローエンド
残るのは、前ページのロードマップスライドに示された「Turks」「Caicos」コアになる。まずTurksだが、おそらく6600番台か、ひょっとすると6500番台の型番をつけると思われる(図では6600番台としている)。動作周波数などは推定だが、シェーダーの構成は「480/24/8」と「400/20/8」の2種類があるのはほぼ確実と思われる。
なぜなら、このTurksをベースにしたと思われるモバイル向けの「Radeon HD 6000M」シリーズがすでに発表されているためだ(関連リンク)。「Radeon HD 6700M/6600M」のシェーダー構成は「480/24/8」。「Radeon HD 6500M」が「400/20/8」だ。そのためTurksコアそのものは480/24/8の構成で、あとは消費電力や性能などをにらみながら、動作周波数を調整してゆくものと思われる。
コアそのものはBartsベースになるので、同じ動作周波数のRedwood世代Radeon HD 5600/5500シリーズよりは高速になると思われる。このあたりが「型番を6600番台にするだろう」という根拠である。
最後がローエンドであるが、こちらもモバイル向けに「Radeon HD 6400M」がすでに発表されており、これがCaicosと同じダイと見られることから、「160/8/4」というシェーダー構成は固いと思われる。
このスペックならば、CedarベースのRadeon HD 5450よりだいぶ高速になる。CedarのスペックのままだとFusion APUの内蔵GPUと競合してしまうので、差別化の意味でも倍ぐらい高速でないとまずいだろう、と思われるためだ。
こうした独立GPUとは別に、Fusion APUの第1世代製品として2011年1月に発表されたのが、コード名「Zacate」の「AMD E-350」である。これには「Wrestler」と呼ばれるGPUコアが統合されているが、ようするにCedarとまったく同じもので、メモリーコントローラーやインターフェース類が、CPUと共用の形になっている。
ローエンドがこれなので、Caicosはもう少し高速でなければいけないし、型番もこのE-350の内蔵GPUに「Radeon HD 6300」番台を振ったので、必然的にRadeon HD 6400番台がCaicosには与えられるだろう、というのが筆者の予測である。
現時点では未知数の2011年後半以降
TSMCの28nmプロセス次第
2011年~2012年の話もしたいところだが、今のところは不明事項が多すぎる。最大の問題は、TSMCの28nmプロセスがどこまで順調かというあたりだ。公式発表を鵜呑みにすれば、問題ないことになっている。だが、こればかりは出て見ないとわからない。
スケジュール的には、まず2011年の第3~第4四半期あたりに、最初の28nmプロセス製品が出てくることになる。計算上は、40nmから28nmへの移行でトランジスター数を倍増できる計算だが、ここまでうまくいくかどうかはちょっと微妙なところだ。
また、次世代製品がCaymanの延長にあるのか、それともBartsの延長にあるのかもはっきりしない。今のところCaymanは、性能あたりのダイサイズ(トランジスター数)が、ややBartsよりも肥大化している傾向にある。これが改善できれば、メインストリーム向けにもCaymanの新アーキテクチャーが導入されるだろう。
これが難しいとなれば、メインストリームにはBartsの延長でシェーダー数を倍近くまで増やしたものを投入。ハイエンド向けGPUとGPGPU向けの「FireStream」ブランドには、Caymanの延長でやはりシェーダー数を増やしたものがそれぞれ投入される、なんてことが考えられる。
筆者はどちらかと言えば、後者のシナリオの方がありそうに思える。だが、このあたりを今まさに検討中なのか、いまだにAMDからは28nm世代のロードマップが出てきていない。とはいえ、おそらく5月31日から開催される「COMPUTEX TAIPEI 2011」の頃までには、何かしら方向性が見えてくるだろうと思われる。
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