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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第45回

注目のDJツール開発陣を直撃

楽しさは音ゲー以上!? プロも遊べる「KAOSS PAD QUAD」

2011年01月29日 12時00分更新

文● 四本淑三

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DJの余暇に遊べるものを

 さっそく本編に入る前に、まずはKAOSS PADシリーズそのもののおさらいを。

初代KAOSS PAD(1999年)

 いまやKAOSS PADのタッチパッド式インターフェイスはコルグの顔でもある。栄えある初代の「KAOSS PAD」は、今から12年前の1999年に発売されている。

 以降、「ZERO8」や「KM-402」といったミキサータイプ、シンセサイザーの「KAOSSILATOR」、フィジカルコントローラー「nanoPAD」、ニンテンドーDS用のソフトシンセ「KORG DS-10」「KORG M01」、iPadアプリの「KORG iMS-20」にも採用されている。

―― ……という歴史があると思うのですが、そもそもKAOSS PADそのものは何のために作られたものなんですか?

坂巻 当時、DJ用のエフェクターはラックマウントが主流だったんですよ。うちで言えば「AM8000R」とか「DL8000R」。マルチエフェクターが出てきて、多パラメーター化して(操作する箇所が増えて)いった時期です。色んな細かいことはできるけど、どんどん難しくなっていった。それを簡単にするにはどうしたらいいんだろう。そう考えて、膨大なパラメーターを1枚のタッチパッドに落とし込んだのがKAOSS PADなんです。

コルグ 商品企画室 坂巻匡彦さん

―― DJ以外にも使われている例がありますよね?

坂巻 当時はボーカル用のエフェクターがなかったので、ボーカリストが操作している場面を見ましたね。マイク入力も付いてたし。

大田 あ、改造してギターに無理やりマウントしている人もいますよ。MUSEのギターの人(マシュー・ベラミー)なんかが有名ですけど。

コルグ 開発部 大田祐樹さん

―― 初代から12年も経つと、いろんな状況が変わったと思いますが。

坂巻 デジタルDJのように、パソコン一台あればDJができる環境になったことが大きいですね。以前はテクニクスのターンテーブルを買って、ミキサーを買って……と、何だかんだで十数万かけないとDJを始められなかった。でも今はコントローラーとインターフェース、ソフトをセットにしたものが2~3万円で買えてしまう。そういうシステムだと、テンポもボタンひとつで合っちゃう。するとDJとして何もしなくていい、ヒマな時間ができるんですよ。その余暇を何とかできないかと。

―― よ、余暇!

坂巻 それと、機材が安くなったことによる可処分所得の増大ですよ。

―― わはははは。

坂巻 それで、今なら前と違うKAOSS PADが作れるんじゃないか、ということで思いついたんですね。スタイルやコストの変化でよりエフェクトに時間を割くことはできないか。エフェクトを演奏するところまで行けないかなと。

―― KP3と比べると操作系がストレートで、すぐ反応が返ってくるのが新鮮ですね。

坂巻 ギタリストの場合はエフェクターを演奏効果として使っていると思うんですね。Aメロ、Bメロでエフェクトを変えて、サビでディストーションを入れるとか。でも、今までのKAOSS PADだとそこまではできない。プログラムを変えなくちゃならないから。それでエフェクターのボタンをいっぱい並べて、オンオフできるようにしたんです。組み合わせも自分でできるようにした。そうして作られたのがQUADなんです。

(次のページに続く)

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